HUSTLERAKIRA

マティアス&マキシムのHUSTLERAKIRAのレビュー・感想・評価

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)
4.4
マキシムの顔のアザを見事に友人たちがまったく完全に無視している様が彼らの関係を見事に描いていたのが印象的だった。

だからこそ、感情が昂ったマティアスがそれを辱めるシーンと、その後にそのアザにキスを重ねることの意味が溢れたんだろうな。
あのシーンは泣かずには居れなかった。

恋をするということって相手を傷つけてしまいかねないある種の異常事態なんだよな、そんなことを思い出した。恋が終わって、また恋をすることに億劫になったのは、傷付くことが怖いのではなかったのだろう。

パンフレットのテキストや、インタビューの中でドランが「Call me by your name」を観て受けた衝撃が語られていたのが強く印象に残った。
2年くらい前にインスタグラムで「ゴッズオウンカントリー」のフランシス・リーと交わしていた言葉、エール。前作でガス・ヴァン・サントに捧げられたオマージュ。

今回の映画に漂うかすかなオプティミズムが過去の先達たちから受け取ったバトンをしっかり握っていることを隠そうとしないドランの姿にしっかりオーバーラップする。

とても良い作品だった。