煙

バワリイの煙のレビュー・感想・評価

バワリイ(1933年製作の映画)
4.0
構造は『彼奴は顔役だ!』と『男の塊』。モブシーン。素手で殴る。マスクマンも。タバコ爆発の小ネタ。英語の発音がなんか違うのはなんなのだろう。20世紀ピクチャーズの第1回作品、とのこと。「蛍の光」

蓮實重彦トークショー備忘
ウォルシュのすばらしさを伝えるのは難しい。淀川長治は、”Sadie Thompson”(『港の女』)を見ていないで良く映画について語れますなあ、というようなことを言っていた。蓮實重彦はウォルシュ追悼文を書いた唯一の日本人。良くないものもたくさん。多作の年には外れなし。例えば1941年は『壮烈第七騎兵隊』『大雷雨』『ハイ・シエラ』『いちごブロンド』四作も作って全て良い。『ハイ・シエラ』や『死の谷』などで男の死が物質化され悲劇として終わる。『バワリイ』についてはお尻を突き出す女を棍棒のようなもので殴って気絶させ、倒れた女を引きずって画面から退場する様を見てほしい。それは喜劇として物質化される。
話したことのある唯一の巨匠。シネマテーク・フランセーズでカウボーイハットを被ったウォルシュに、写真を撮らせてください、と声をかけたら、快く応じてくれてポーズもとってくれた。ポーズをとってくれた写真は無いが、そのうちの一枚を画像紹介「なかなか悪くない」。シネマテーク・フランセーズのわかりにくい通路を迷わずに進んでいた。ウォルシュはフランス語を解す。
ウォルシュは役者として『國民の創生』にクレジット有りで出演。リンカーンを殺す役。ジョン・フォードも出演しているがクレジット無しの端役。ウォルシュは自伝で、自作映画を観たグリフィスから、俺は前からお前のことを見ていたからできることを知っている、と言われて狂喜した、と書いている。
ジョン・フォードのベストテンの一位は『國民の創生』、三位はウォルシュの作品。他に自作と『アラモ!』をランクインしているので、身贔屓が過ぎるのかもしれないが、グリフィスとウォルシュへの敬意は本物だろう。
会場に質問。いつも素晴らしいチラシを作成するシネマヴェーラだが、本特集のコメントで抜けているものは何か?答えは『金髪乱れて』の出演者にヘンリー・B・ウォルソールの名前が無いこと。この作品でのウォルソールの眼差しに注目。ウォルソールはグリフィス、ジョン・フォード『プリースト判事』、ウォルシュ『金髪乱れて』に出演。晩年、セシル・B・デミルらと映った写真紹介。
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