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モデル 雅子 を追う旅のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

モデル 雅子 を追う旅(2019年製作の映画)
2.0
[日本版『Elena』は語り部の仕事放棄で終結] 40点

どっからどう見ても日本版『Elena』なのだが、ペトラ・コスタにあったエモーショナルな感じ(語彙力)というのは欠片もなくて、雅子のことを全く知らない私が撮っても多分同じ映画になった気がするという非常に奇妙な映画。監督は旦那のはずなんだが、"モデルとしての妻を知らなかった"と言って映画を始めたせいなのか結婚の話題すら一切触れない。というか多分そこは避けている。なのに突然"離婚"という字幕を出した直後に旦那として自分が登場する。"長い方の寿命に併せて一緒に死のうね"と言っていたのに、その始まりを提示しないのだ。一体何がしたいんだ?カメラを回す動機は個人的なものなのだから、監督は本来知ったことを我々に示す"語り部"になるはずなのに、カメラを持つことだけで語っていると誤認して満足しているんだろう。彼の知るプライベートな雅子とモデルの雅子がどう違うのか、どこが同じなのか、それを詳らかに出来るのは旦那だった監督しかいないのに、なぜか滅私に徹している。仕事放棄すんなや!

勿論、雅子のことを知らなくても、彼女の凄さというか時代から抜け出たいい意味での異質さは伝わるし、亡くなっているという点でエモーショナルな気分にはなるんだが、一本の映画として見たときにその骨格がボロボロになっているのはどうなのか。まぁペトラ・コスタとは格がちゃいますよ。申し訳ないけど。

ペトラ・コスタについてはコチラをどうぞ
『Elena』亡き姉との想い出を受け入れるまで
https://note.mu/knightofodessa/n/nd4383f2b652b
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