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鵞鳥湖の夜のmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「欲望の翼」とか「恋する惑星」の頃の初期ウォン•カーウァイに、レフンの「オンリー•ゴッド」を足して、中国社会の下層をノワールに描いたような快作。「薄氷の殺人」には無かったアクションシーンが序盤からバッチリ決まっていて驚いた。

バイク窃盗団の揉め事に巻き込まれ、不運にも警察を射殺してしまうことから逃亡劇がスタートして、最後は背後から撃たれて泥の水溜まりに顔突っ込んでまるでモノのように死んでいく様が描かれる(その際の警察が記念写真撮るのもエグくて良い)わけだが、その後にアイアイとチョウの妻とが2人歩く姿を刑事がたまたま見かけて後を追うシーンで締めていて、物語の糊代を残すセンスが素晴らしい。

水浴嬢(本当にそんな職業あるのだろうか?)のアイアイにお口でしていただく小舟の場面も、工場移転を議論する投票現場に出くわす場面、広場で電飾の付いた靴で踊っていた人たち私服警官が死体を取り囲む場面、それぞれ視覚的に美しく、音楽もバチを引っ掻いたような音が緊張を盛り上げていた。

フード描写では「薄氷の殺人」では肉まんが美味しそうだったが、今作では牛肉麺がフィーチャーされていて好感が持てるし、次作でどんな食べ物が描かれるか気になるところです。
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