とにかく映像や演出が素晴らしい作品。
画面の格好よさや、ミステリアス性のある女、ノワール特有のエロチシズムみたいなものはとてもよかったです。
全体を通して、舞台的な演出を大胆に使っているなという印象。
特に、光と影、水、黒とグレー、音、そこらへんは相当意識して1シーンごとに見せ方を工夫した編集をしているなと思いました。
登場人物の後ろから強烈な光を当てて逆光を作り、その逆光のアクションで意図を伝えてくる演出はなかなかに良いですね。とても想像力を掻き立てられます。現代演出の舞台でもたまに見る演出です。これが通用するのは、本作で重要なシーンがずっと夜だからかなと思います。
セリフの転換部分で雨が降り出す演出や、単調な音を響かせて緊張感をあおるような音響演出も好感が持てました。
雰囲気がある良い作品ですが、シナリオに関してはそこまででもないかなとと思いました。好き嫌いがわかれそうな作品かと。
登場人物の気持ちに共感したいタイプの人には全く響かないだろうなと思います。
