フラニー

ダブル・サスペクツ/ルーベ、嘆きの光のフラニーのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます


普段の私なら、絶対に見ないのではないかと思える刑事モノなんですが…これが良かった!!
良質な小説を読んだような、サスペンスチックなのに、とても文学的な印象でした。

ベルギーとの国境にほど近い街、ルーベ。
移民が多く、貧しい街。
そこで起きた放火事件から老女の殺人事件までを、新米刑事と、ルーベ警察署長ダウード(めちゃくちゃ素敵!)が
目撃者で通報者だった美しい女クロードと、同居人マリーの二人を取り調べていく。

その間に署が関わる失踪事件や、容疑者たちの人生、生き様を見せられる。
寡黙で切れ者の署長ダウード、彼は北アフリカからの移民。
彼が追う容疑者たちも、アラブ系の移民たちだ。

ヨーロッパの映画や文学が、わたしを惹き付けるのは、やはりこの地続きの文化というか、歴史?なのだと思う。
日本人には想像し難い人種の問題。
日本にだってアジア系の移民が多くいるけれど、なんと言うか、一緒に生きているという感覚がどうもないし、そういったことを描いた文学や映画は少ないのでは?

彼らの抱えた貧しさや虐げられた人生が映画の根底にある所にとても興味がある。
容疑者の女二人は白人だけど、彼女らの子供時代を想像し、寄り添うように話しかけていくダウード。彼女たちだって、子供時代には未来があった。どこで生き方を間違えてしまったのか…。

白人の新人刑事と、夜中の公園を歩きながらの二人の会話、うろ覚えですがとても文学的で私は好きでした。

「ここで、子どもたちを見るのがすきなんだ」
というダウードに、
若い刑事が質問します。
「貧しさを感じませんか?」
「子どもたちに貧しさは関係ない。」

思うに、子どもたちはみな、その時の小さな幸せと未来に輝いていた。
それでも、生きていくうちに、犯罪者になってしまう。。

そんなもの哀しさをこの映画から感じました。単純な刑事ドラマとは違って、人生の深みと、どこかにあるかもしれない新しい生、希望のようなものを感じて、とても素敵でした。

そしてー、美人の容疑者クロードは、なんと、レア・セドゥちゃん❣️
ノーメイクと無表情さにハラハラしましたがやっぱり魅力的でしたー
フラニー

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