MegmiTanak

ダブル・サスペクツ/ルーベ、嘆きの光のMegmiTanakのレビュー・感想・評価

3.5
改めて、日本の宣伝にがっかりです。

デプレシャンの映画はあまり好きではないが、これは好きな方。自らの出身地ルーベのありのままの姿を、治安の悪さを含め愛を持って描いているところに好感を抱いた。原題の通り、悲惨な現状にもかかわらずどこか希望の光のようなものが感じ取れる。
何かを抱えて孤独に生きる署長ダウードを始め、皆がそれぞれバックグラウンドを持って毎日毎日を必死に生きている。日本が謳う「衝撃のサスペンス」なんかでは絶対になく、その地で必死に生きる人々の地味とも言える”日常”を切り取ったに過ぎない。少々強引に思える尋問風景も、治安の悪いルーベではそうせざるを得ないのかもしれない。まるでドキュメンタリーを観ているような俳優陣の演技は見もの。中でもマリー演じるサラ・フォレスティエの醸し出すリアリティは、世界的有名になったレアセドゥよりも評価されるべき。それでもやはり、顔のアップだけで多くを物語るレアセドゥの存在感とカリスマ性は言うまでもなく、正真正銘のスターの片鱗が見て取れる。本作がきっかけでデプレシャンの次作『Tromperie』に繋がったことからも、やはりレアセドゥは世界中から引く手あまたのいわゆる”使いたい女優”なのだろう。
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