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その手に触れるまでのsoのレビュー・感想・評価

その手に触れるまで(2019年製作の映画)
3.5
やだな〜こわいな〜…
と口から漏れ出てしまう相変わらずの緊張感、ダルデンヌ兄弟作品。
普通のゲーム好きだった少年がイスラム教にのめりこみ、指導者からイスラムの敵と教え込まれた学校の先生を殺そうとする。
序盤の筋書きに、今までのダルデンヌ兄弟作品にはないキャッチーさを感じたけど、それはイスラムへの傾倒を遠い国の出来事として割り切ってしまえる自分に限ったことかもしれない。本国含め、多くの国で宗教の危険性はもっと身近だろう。
「前のお前に戻ってよ」と泣きながら訴える母親は一体世界中にどれだけいるのだろう。

信仰と本能・欲望の間で揺れ動く人間の姿は映画や文学で多く描かれてきたと思う。
しかし本作で信仰が試されるのはちょっと前までゲーム好きだった普通の13歳。その揺れ動き方の危なっかしさに「やだな〜こわいな〜…」と口走ってしまいそうになるけど、同時に、13歳しか持たないあの純粋がこちらの胸を刺す。

何と言っても、彼がコーランを入れているのが100円ショップで売ってるようなビニールケース、というところに彼の危なっかしさやアンバランスを見た気がする。
道具の細部に人間の深層を委ねているようで…ダルデンヌ兄弟恐ろしや。
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