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その手に触れるまでのmhのネタバレレビュー・内容・結末

その手に触れるまで(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

身近な人がイスラム教原理主義者に改宗してしまったという設定のサイコサスペンス。
フランス映画「見えない太陽」では視点人物の家族がムスリムとなるんだけど、こちらは主人公。その後姿を、ドキュメンタリータッチのカメラが追っていく。
ヨーロッパ各国で問題になっている、イスラム教原理主義者への改宗をシュミュレーションすると同時に、人間社会で生きていくにあたって、なにが大切なのかを訴えかける内容。
民間にいる導師の指示をまともに受け取ってしまって、親身になってくれる学校の教師を殺そうとする主人公というとんでもない展開。
これは別に映画のテーマではないんだけど、ベルギーの少年院の環境が素晴らしくてカルチャーショックを受けた。準刑務所みたいな位置づけの日本のそれとは大違いだった。
・根は優しい少年。
・強烈なくせ毛でいじめられたであろう過去。
このあたりが伝わってくるので演出うまい。
ラストは、キスしてしまったことの罪滅ぼしのため、急遽、先生を殺しにいくことなる。
それに失敗して、半身不随となって、そうまでなってようやく目が覚める。
ヘイトクライムはそれくらい罪深いみたいなエンドだった。
怖かったのは、イスラム教原理主義が
・潔癖症のひと。
・疎外感を味わっているひと。
・生真面目なひと。
・間違っていることが許せないひと。
これらの「誰もが少なからず持ち得る資質」を、全肯定してくれるという点。
改宗してからそうなるのではなく、「潔癖症である自分を受け入れてくれるから」という理由で入信するというパターンが、少なからずあるのではないか。むしろ、そっちのほうが多いような気もすんね。
卑近な例だと「女にモテなくてもいいんだ!」みたいに。
まあ、すべての宗教は、生きにくさを抱えるひとのためのものでもあるんだろうけどね。
極端なことまで実行してしまう悪い面が描かれがちだけど、良かったことばっかり集めたイスラム教原理主義者のプロパガンダ映像みたいなのもちょっとみたい気がする。
そうか、それが「パラダイス・ナウ」でやってたシャヒードのビデオか。この映画でも、いとこの加工画像がそうだった。
めちゃくちゃ勉強になるので、もっと早く見ておくべき映画でした。
面白かった!
mh

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