まおう

その手に触れるまでのまおうのレビュー・感想・評価

その手に触れるまで(2019年製作の映画)
3.0
過激なイスラム思想に傾倒するベルギーに住む13歳の少年アーメッド。彼の純粋で愚直なまでのイスラム教への姿勢はやがて思春期の自分自身の感情と齟齬を起こし彼の人生を変えていく…。
2019年カンヌ国際映画祭監督賞受賞作。

俯きがちで純朴そうな眼鏡の奥で、沸々と煮え滾るような負の感情を突如爆発させる少年の姿を淡々と手持ちカメラで撮ったみたいなホームビデオのような静かで単調な画で映し出す様は温かさと不気味さを併せ持っていて背中がスウッと冷える。

あらすじも読まず勝手にムスリムの子供がヨーロッパで生活する生きにくさを描くのかなとか思ってたけど良い意味で裏切られた。
宗教や文化を重んじることと現代社会で"政治的に正しく"生きる事を両立させる難しさ、それに思春期の子供たちの複雑だけど斜め上の方向に真っ直ぐな感情を上手く織り交ぜて描いている。
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