シネマスナイパーF

シチリアーノ 裏切りの美学のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

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結局グレーなまま終わらせたのは間違いないな
抗争…とも違うのよね
その後の話なので
第一幕:捕まりーノ喋りーノ
第二幕:捕まえーノ喋りーノアメリカーノ
第三幕:シチリアーに戻りーノ喋りーノ
って感じ
邦題、とてもいいと思います
そのまんま裏切りとだけ訳してしまうとつまらないですから、シチリア人の物語ということが重要なのでシチリアーノ、裏切りは採用、組織そのものではなく組織の精神をこそ重んじた行動を美学と呼ぶ
素敵じゃないでしょうか


話を線として繋ぐには一見必要のないシーンもありますが、それらは我々観客にマジーノを信用させるための布石的な感じかな
娼婦とのシーンとか絶対なくていいけど、起きないおじいちゃんに対する行動がなんか良い感じに見えるんだよな
だからこそ、クライマックスになって我々観客に対して仕掛けてくるとこが活きる
やられた
我々の主観を揺らしたところに、気が狂っちまってる連中の各独房の監視モニターを見ている様子をさらに被せることで、いい意味で超嫌な気分にさせる

なんのカウントアップかと思ったらキルカウントだったアレはシンプルに面白い演出だった
法廷パート入ってからはこう言っちゃアレだけど超面白い
あんなコンサート会場のような馬鹿デカい法廷で、後方に被告人の檻があるとか超面白いじゃん
数百人規模で捕まってるわけだからその数も多いし、おまけにどいつもこいつも狂ってやがって、口縫い合わせてる奴にはドン引きですよ
イタリアの司法で本当にあるものなのかは分かりませんが、「対決」なるものがあり、証人と被告人が法廷で直接口論をするというトンデモ展開まであって、これもまた楽しい
日時及び場所説明のフォント、一斉逮捕の時のネズミ映像と新聞見出しの畳み掛け、各主要マフィア連中の判決クレジット、これらも全て最高にイカしてる
極めつけはあのショッキングなシーンよ
もうさ、場面自体が車の中の定点カメラから始まってる時点で嫌な予感しかしないんだよ笑
で、予想を超えたエグい事態が画面に映る
いや、80歳越えてこれってカッコよすぎるぜ監督

長いけど、ず〜っとマジーノの心理を芯にしたブレない物語を築けてる
アメリカに行こうとシチリア人というアイデンティティからは逃げられないところとか弱々しいよね
ラストには本当に胸を打たれた
あのエピソードを最後に持ってくるのは卑怯だぜマジで
最後の最後まで家族のための姿勢を見せながら、自分にもお迎えが近づいていることを自覚していて、いざ思い出すのがあの出来事
かつてコーザ・ノストラが守っていたラインを具体的な例に、彼は組織の気高さを保とうとしていたからこそ、終始死の匂いがするこの映画において最後まで取っておくことの効果がすごい


こーれは良い映画ですよ
猛プッシュしたい
今年観賞の中で上位にくるし、実話ベースものとしても自分の中で上位
オススメ