たけちゃん

ダンガル きっと、つよくなる 〈オリジナル版〉のたけちゃんのレビュー・感想・評価

5.0
コーチと父親、同時になることはできない……


ニテーシュ・ティワーリー監督・脚本 2016年製作
主演アーミル・カーン


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
本日、8月20日は「親父の日」だそうです。
なんでも「0820」を「オヤジ」と読ませる語呂合わせから、中小企業専門のビジネスコーチを行う株式会社トップコーチングスタジアムが制定したそうです。この会社、"コーチ型親父のすすめ"を提唱しているそうです。迷惑な話(笑)

まぁ、そんな由来はさておき←サテオクンカイ、親父がコーチの映画で思い出したのは、インド映画の「ダンガル」です。親父と娘による涙涙のスポ根物語で、これは実話に基づくし涙腺崩壊必至です!

今作は3年前の「ゆうばりファンタスティック映画祭」で初鑑賞し、その後の劇場公開時には嫁を誘って観ましたよ。絶対に観せるべきって思いまして(ˆωˆ )フフフ…。嫁も号泣😙

今回はBDでの鑑賞でしたが、メイキングも観ましたので、それもふまえてのレビューです。なので、ネタバレごめんです(≧∇≦)ゞ








さて、映画です。
アマチュアレスリングのインド代表だったマハヴィルは、家の事情で選手を引退。インドに金メダルをもたらそうとわが子に願いを託す。しかし、生まれてくる子は女の子ばかりで、一度は夢を諦めた……。しかし、その娘たちにはレスリングの優れた才能があったのです……、というお話です。

こう書いてもファンタジーだなぁと思うんですが、実話ですよ。姉のギータと妹のバビータは後々数多くのメダルをインドに持ちかえることになるのです。
あの霊長類最強女子、吉田沙保里選手とも対戦しているようで、この映画の公式サイトでコメントを見ることができます(^-^)/


なんと言っても素晴らしいのが、主人公の親父マハヴィル・シン・フォーガットを演じるアーミル・カーンです。僕がアーミル・カーンを初めて観たのがこの作品でしたし、インド映画の面白さを発見したのもこの映画からでした。
特に、色々なところで語られていますが、60代を演じるために体重を増やし、体重97㌔、体脂肪率38%までになったものを、撮影の最後で20代の体に戻す荒業。1ヶ月で70㌔、9.67%まで落とすとは、とんでもない!
すごい精神力と忍耐力
トップアクターの力を見ました❗

そして、娘たちを演じた女優さん。
彼女たちも素晴らしかった。
子供時代と成長してから、それぞれに姉妹が選ばれていて、合わせて4人いるんですが、2ヶ月間のレスリングトレーニングを経て、映画では吹替えなしで演じているんです。凄すぎますね!
傷だらけ、故障だらけになりながらの撮影がメイキングに残っていました。
でも、ここでのアーミルの言葉が凄いんです。
怪我をした娘役の女優さんに向けて語ったのが、
"役者の苦労は観客は知らなくていいんだ。これは自分との戦い。"
という言葉。含蓄がありますね。


あと、レスリングの練習が過酷だったのはすぐに想像できますが、メイキングを見て初めて知ったのが、言語です。
使っていたのはハリヤーンウィー語というのですが、あのアーミル・カーンが1番苦労していたというのだから驚きです。邦画でも方言指導とか大変そうですよね。ニュアンスの違いはネイティブしか分からないよね。大変です!


劇場公開版とオリジナル版の違いは記憶でしか辿れないので難しいのですが💦、歌の数が減っている気がします。日本向けに歌の場面を減らしたかな?
でも、今作は歌が沢山語るので、重要なんですよね。メイキングで、アーミル・カーンの別荘に作曲家やミュージシャンが集まって曲作りする場面とかがあるのですが、こんな感じで曲作りするのかと楽しくなりました。

出来上がった歌も雄弁でね。
「やめて 父さん」とか、セリフではなく、歌で人物の心象を描くのがすごくいい。
「まるで拷問、地獄のようだわ~」とか(笑)。歌詞を見て、笑うよね。



コモンウェルス大会の開会式の豪華さ……
ちょっと東京オリンピックと比べちゃった……
ゴメンなさい🙇
子供と一緒で、それぞれの個性と価値があるから比べてはいけませんね。

ナショナリズムと言われるかもしれないけれど、金メダルを取り、国旗掲揚と国歌の斉唱がある場面、みんなが立ち上がり心ひとつにする様は美しいのよ。


金メダル至上主義ではないんですが、映画のセリフには考えさせられました。

「銀メダルだとやがてお前は忘れられる
金メダルだと人々に勇気を与え
子供たちの希望として永遠に残る

勝利はお前だけのものじゃない
何百万もの少女の勝利となる……

男より低い地位にいる少女の勝利だ」


これが映画の本質なんです。
女性の地位の向上と解放
親子(父娘)の絆、信頼
ずっと言いたかった、そして、言って欲しかった「俺の誇りだ」という言葉。映画と共に一緒に感じてきましたからね。涙が止まりませんでした。
「親父の日」にこれ以上の作品はありまそんね。未見の方は、ぜひとも手に取って欲しいです!