近本光司

7月の物語の近本光司のレビュー・感想・評価

7月の物語(2017年製作の映画)
3.5
そのむかし Cité Universitaire のノルウェー館に住んでいた友人を訪ねて、この映画に映っていたのとおなじ2階の端っこのテラスでパスタを食べて、ワインを飲んだ。そのときもだれかがギターを弾いて、だれかが踊っていた。朧げにしか思い出せない顔たち。
 あたらしい年が来るたびに、もとの住人は散り散りになって、よそから別のひとがやってくる。都度の顔ぶれはまったくちがうにもかかわらず、似たような光景が、毎年、毎年再演されることとなる。大学寮の気味のわるいおもしろさ。
 そんな諸行無常を見つづけてきたはずのアルメニア出身の彼は、いったいどんな気持で残りの夜を、しかもフランス人にとっては禍々しい日付となってしまった2016年7月14日の夜を過ごしたのだろうと想像してみたくなる。