Ryoma

小さな兵隊のRyomaのレビュー・感想・評価

小さな兵隊(1960年製作の映画)
4.0
スパイとして極秘に暗躍していた男性がある女性と恋に落ちる。硬派なカメラマンでもある男性と天真爛漫だけれどもミステリアスな雰囲気を纏い少し陰がある女性。その対照的な組み合わせが良き化学反応を発生させているし、カメラのシャッター越しに写る彼女の姿が写真集を見ているかのようにキュートで凄い画になる。アルジェリア🇩🇿がフランス🇫🇷の植民地から脱するための戦争真っ只中という時代背景(実際には1954年頃)のためか“右派“や“革命“ 、“共産主義“など政治的な用語が頻出するけれども、恋愛要素とのバランスが良くそこまで重さは感じなかった。
国粋主義は嫌いで領土よりも理念を大事にして欲しいと訴える男性の姿を介して、ゴダールの戦争への強烈な抗議や自国フランス🇫🇷への愛国心を感じた。終盤に怒涛の政治論や社会への皮肉が熱弁される様は、フランスの国内情勢やヨーロッパなどの周辺諸国に通ずる諸事情が含まれた内容で難解で噛み砕けないところも多々あったけれども、それも監督の強く熱いメッセージなのかもと思った。
スパイであるが故に八方塞がりで過酷な状況に陥った際には、恋模様になんとも切ない展開が待っていて居た堪れなくなってしまったけれども、お互いを想う気持ちの大きさに2人の優しさを感じることができた。


memo📝
アルジェリア🇩🇿は1830年にフランスの植民地となった。 1871年にはフランス本国の延長 として内務省の管轄に組み込まれ、フランス人入植者の人口は100万人を超えた。 この点 において、アルジェリアはフランス最大の植民地であったと言ってよい。 そのアルジェリアにおいて独立戦争が起こったのは1954年。
Ryoma

Ryoma