mh

決死のビルマ戦線のmhのレビュー・感想・評価

決死のビルマ戦線(1945年製作の映画)
-
ビルマ戦役におけるメリル略奪隊の活躍をモチーフにしたプロパガンダ映画。
史実に近いのは「陽動作戦(1961年)」のほう、こちらはダイジェスト版かつ、日本の極悪っぷりを強調したもの。
日本軍は拷問の末、アメリカ軍人の身体を切り刻んでバラバラにしたので、誰が誰だかわからなくなってる。
「ここまでひどいのはみたことない。やつらは未開の野蛮人だ。日本人は全滅させるべきだ!」
事実かどうかより、ヘイトを煽るほうが観客に喜ばれたのだろう、ほんとかよそれみたいなプロットはこのころのハリウッドプロパガンダ映画によく見られる。
「パープル・ハート(1944年)」のような奇妙な映画が大ヒットして戦時国債の売上に一役買っている。
これも当時は大絶賛されたとのことだけど、日本軍相手に「ジャップ」はまだしも「猿を二匹始末する」などを当たり前のように使っており、ヘイトクライムがすさまじい。
いっぽうで日本人と同じ有色人種ーー中国人やグルカ兵、インド兵の味方を平気な顔してやってるのが、なかなかにサイコパス。
・現地で撮影されたわけじゃないらしいが、ジャングルのSEに臨場感あり。
‎・「抗マラリア剤」「塩の錠剤」「ビタミン剤」のほか「レーション」など、圧倒的物量の描写。
・補給物資投下のくだりが丁寧でいいね!
・「遠すぎた橋」にも出てきたグライダーがすげー!(着陸すると積んでいる車両が出てくる)
・グライダーの離陸がまたすごい!
などなど2時間22分という長尺だが、最後まで飽きずに見ていられた。
英語版Wikipediaには、ビルマ戦役におけるイギリスの手柄をアメリカが横取りしたとのことでひと悶着あったそうだが、メリル略奪隊はアメリカ軍なので史実通り。つまりイギリスが誤解したとのエピソードも紹介されている。
そもそもメリル略奪隊の目的はレド公路打通(中国国民党軍を支援するため)だったり、このあたりの情勢は複雑怪奇。これだけ見てもいまいちよくわからないので、「陽動作戦(1961年)」で補完するのがいいかと思う。同じ部隊の話とは思えないほど、内容が違ってるのでそのあたりも面白かった。
mh

mh