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星屑の町のSTAYGOLDぴあ映画生活のレビュー・感想・評価

星屑の町(2020年製作の映画)
4.0
喝采
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のん。

これほどまでに、みんなが守ろうとする存在を少なくとも私は、彼女しか知らない。

真っ黒いくりくりした瞳の愛らしい女の子は、この苦しい時間を超えてアンニュイな表情を見せる美しい女性へと脱皮しておりました。もちろんあどけなさも、垢抜け無さも失ってはいない。むしろ万華鏡のように、様々な表情がより輝きを深めている。何という美しい生命力なんだろう。

まるで萌え立つ緑の輝きのようだ。

映画の中の苦しみが、彼女の生き様にオーバーラップする。けど、彼女が超える辛い時間は、必ず彼女のためになる。

明けない夜はない。
今はただ、彼女の未来を信じていたい。
彼女がアコギをぶら下げて、まっすぐに、ただまっすぐに「新宿の女」を唄ったとき、私の魂は慟哭しました。そして、喝采も。
キチンとコードを押さえて、のんが唄っている。

直前に観た「一度死んでみた」の広瀬すずのこえに魂が震え…
のんのこえにこころが泪を零しました。
生きている時間に、無駄な瞬間なんて、ない!
ありがとう、のんちゃん。

映画は演劇ベースらしくしっかりした内容。
戸田恵子さまや芸達者な方々を配置して、素晴らしい物語に仕上がっておりました。これ、絶対アラフィフぐらいから激しく感応するやつ。

若者には捕まえられない歴史や生きた証がそこかしこに散りばめられている。でも、その中でより生命力を撒き散らす劇中の若者たち。

ぜひ、のんが気になる方以外も昔のうたやムード歌謡が好きな方に観て欲しい。特に歌うひとには、いろいろ刺さると思います。

いい映画でした。
劇中同様、のんにも、共に生きた仲間たちの未来にも幸あれ。

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