MasaichiYaguchi

星屑の町のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

星屑の町(2020年製作の映画)
3.9
のんさんが「海月姫」以来6年振りに実写映画でスクリーンに帰って来た。
彼女の復帰作となった「星屑の町」は、ラサール石井さん、小宮孝泰さん、水谷龍二さんが結成した「星屑の会」による人気舞台の劇場映画版。
本作の舞台は、のんさんが旧芸名の時に出演していた連続テレビ小説「あまちゃん」と同じ岩手県久慈市で、台詞も「あまちゃん」時代を彷彿させるような方言で演じられる。
舞台同様に地方回りのムード歌謡コーラスグループ「山田修とハローナイツ」を軸に、数々の懐かしい昭和歌謡や、売れない歌手や芸能人の悲哀を笑いと切なさを織り交ぜてドラマが展開していく。
のんさんはブランクの6年間に「この世界の片隅に」での声優や、音楽活動、舞台出演と活動の幅を広げていたが、その活動、特に音楽活動の成果が本作での「新宿の女」の弾き語りを含めた歌唱で活かされていると思う。
観る前は彼女の歌唱がここまで昭和歌謡に合うとは思いもせず、「恋の季節」「ほんきかしら」のパフォーマンスをはじめとして嬉しい誤算だった。
「あまちゃん」ではアイドルを目指す女の子の物語が描かれたが、本作では歌手を目指す女の子がロートルのどさ回りコーラスグループの面々と絡みながら、岩手県版「スター誕生」物語を繰り広げる。
のんさんが演じた久間部愛のラストでの”決断と行動”と同様に、本作を切っ掛けに今後彼女がどのような作品に挑んでいくのか楽しみです。