ジェイコブ

スペシャルアクターズのジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

スペシャルアクターズ(2019年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

子供の頃に見たヒーローにずっと憧れ続ける売れない役者の和人は、緊張が高まると気絶してしまうという役者としては致命的な欠点の持ち主。オーディションにも受からず、心療内科に通う日々だったが、ある日街中で酔っ払ってカップルにケンカを売るも、返り討ちにあう弟のヒロキと再会する。そしてヒロキが現在、演技を使って様々な問題を解決するなんでも屋「スペシャルアクターズ」に所属していることを聞かされ、自分も誘われることに。和人は胡散臭いと思いながらも、滞納する家賃や公共料金を払うため、彼らの仕事を手伝うことに。和人は自分の欠点を何とかコントロールしながらも、彼らから振られる「雇われクレーマー」などの仕事をこなしていく。そんな中、スペシャルアクターズのもとに、実家の旅館をカルト教団から救ってほしいという依頼が舞い込んでくる……。
「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督脚本作品。主演の大澤数人は本作が初主演となる。
役者がやるなんでも屋という設定は、オープンしたばかりの店に並ぶサクラや報道番組における仕込みなどリアルでもよく聞く話であり、普段は目立たない人々を映画の題材として取り上げる上田監督の着眼点は流石と言うべきだろう。話もテンポよく進んで、最後まで退屈しなかった。
マイナス点として、和人の気絶するという特徴がイマイチ活かしきれていない気がした。恐らくその点が、和人に対して最後まで魅力を感じられなかった最大要因に思う。というのも、物語の最後の最後でスペシャルアクターズ自体が和人の欠点を克服させるために作られた盛大な「ヤラセ」であると明かされるのだが、そうなると和人自身が悩んで動いたシーンの印象が薄くなってしまい、結局和最後まで周りに振り回されて終わっただけに見えてしまった。その点も踏まえると、最後のどんでん返しが蛇足であった感が否めない。