空海花

エターナルズの空海花のレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
4.0
マーベル・シネマティック・ユニバース第26作目。

“指パッチン”によって半分になった人類の人口が復活した『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界。
そのことにより地球には新たな脅威が迫っていた。
7000年前(!)から人知れず人類を導き見守ってきた不死の種族“エターナルズ”が姿を現す。
監督はクロエ・ジャオ。
前半一度解散した仲間を集める為の旅があるが、移り変わる景色はやはり唸るレベルのもの。
原作「エターナルズ」はまた別次元の話なのか。作者はスタン・リーと双璧をなすジャック・カービー。

7000年という年月と神話的設定。
あまりのスケールの大きさに驚いたが
そうなるとアベンジャーズとのパワーバランスに差がありそう。
いったい今後どうやって関わってくるのかはさておき、ギリシャ神話のような設定は個人的には大好物。神話加点しちゃう(笑)
ギリシャ神話の神々は完璧ではない。
それぞれの個性があり、欠点もある。
そういう点はアベンジャーズでも通してある哲学。
ヒーローだからって完璧ではない。
多少子供じみているが、葛藤し助け合い克服していくストーリーは不可欠。
そこはMCUだしそれでいいと思う。
ただいきなり10人という多さと
ちょっとした名前がややこしくて覚えづらい(笑)

今回、いわゆるヴィランというのはしっくり来ない。
敵はディヴィアンツ(覚えづらい笑)というクリーチャーのような生物。
途中あの人がそうかなと思いきや、そういう風にはならなかった。
私はクリーチャーものは嫌いでないので、これはこれで構わない。

気になったのは神話を基にしたゲームっぽい世界だなということ。
それぞれの能力がジョブっぽいし、バランス的にもそう。
アクションもそうなってしまった部分もあるけれど
ギルガメッシュことマ・ドンソクはちゃんと鉄拳で闘うし
マッカリの俊足は気持ちいい。
闘いの女神セナことアンジェリーナ・ジョリーの剣さばきは絵になるし、佇まいもかっこよく、流石の一言。
ダイバーシティ設定に関しても心強い味方であったことだろう。
個人的にはもっと凜としたキャラであってほしかったが、彼女の弱味が残念であった。

その設定に関しては、とことんやりきろうとしたジャオ監督の気概を感じた。
コンプライアンスがどうの細かいことを言うのが馬鹿らしくなるくらい思い切り取り入れたように思う。
そしてキャラクターを一人ひとり深掘りしたぶん、多過ぎるキャラクターがそれぞれ愛すべきものにきちんとなっている。何が良かったって、それぞれの葛藤を描けているのが良かったのではないかと。
ここは本作の成功部分であると思う。
それぞれの良さを言いたいけれど…やっぱりネタバレだと思うので末尾に。

賛否分かれるのはよくわかる。
MCUっぽくないし、(人気がない)SF叙事詩入っちゃうし、そこまでアクション満載でもないし、ヒーローものっぽくもないから。
でも私は結構好きかも。


以下ネタバレ⚠️
キャラクターのmemoも含みます。
端折ったが何せ10人分、長いので適当に飛ばしてください。


アンシェムはエヴァっぽいと思った。
神話ベースだから似ていてもおかしくないけれど
日本のゲームやアニメを参考にしているんじゃないかと思ってしまった。
また技術の発展の行き着く末に、広島の原爆投下の惨状が用いられる。
この視点は珍しいし、贔屓目にしたくもなる。

主役でリーダー格(となる)セリクことジェンマ・チャン。
人間の恋人ディン(キット・ハリントン)が「魔女」かと思ったというように、ギリシャ神話の魔女キルケーに由来。
能力も魔女っぽく、感情がない物質なら触れるだけで別のものに変換できる。
とにかく人間が大好きなキャラクターというのが魅力。アジアンビューティ。

セルシとかつての恋人だったのは
最強戦士イカリスことリチャード・マッデン。由来はギリシャ神話のイカロス。
目からビームを出すし、跳べるし、スーパーマンみたい(台詞もあった)
イカロスといえば思い出すのはあの歌。
あのシーンの見つめ合いは良かった。

圧倒的な美貌と存在感、セナことアンジー。
戦いを愛し、戦場に身を置き続けたいと語る彼女は、戦いの女神アテナに由来。
彼女は思い浮かべた武器をコズミックエネルギーで具現化する。メッチャかっこいい。
一人でいることが多いがギルガメッシュには心を開いている。
過去にあった何かはストーリーにも触れられる。

そのギルガメッシュはマブリーことマ・ドンソク。まさかのドン・リー名義で出演。
ギリシャ神話最大の英雄ヘラクレス、あるいは古代メソポタミアの王ギルガメッシュなど伝説の人物…に勘違いされるという設定。
武器はその怪力。やはりコズミックエネルギーで拳や肉体を強化できる。約束通り力持ちで気優しい。
ガッカリしてパイを落としたり、エプロン姿やビッグベビー姿も拝める。
劇中のギャグは少なめだが、下手なアメリカンジョークは苦手なのでこれくらいで丁度いい。
エターナルズの良心。(ほめすぎ笑)

元々リーダー役を担っていたのはエイジャックことサルマ・ハエック。
太古の時代から現代まで地球と人類を見守ってきた、エターナルズの精神的支柱。
ヒーリング能力の持ち主で、
白魔術師というジョブがピッタリで1番ゲームっぽさを感じたキャラ。
原作ではアステカやインカなど南米の文明と関わりが深く、サルマはメキシコ系とのこと。

ファストスことブライアン・タイリー・ヘンリーの能力もジョブっぽい。
発明家、鍛冶師、工学技術者のように何でも作り出す頭脳を持つ。
ギリシャ神話、炎と鍛冶の神ヘイパートスに由来。
人類のテクノロジーの発展をそっと後押しする平和主義者だがその葛藤が辛かった。
人間の世界では男性パートナーとその子と暮らし、唯一家族がいる。あったかい。

スプライトことリア・マクヒューは14歳。幼い容姿のまま歳を取らないので、人間と生活を共にすることにより葛藤が生まれる。
容姿は子供だが頭はキレる。自身の幻影を出したり、容姿を自由に変えることができる。
スプライトは「精霊」の意だが、劇中ピーターパンやシェイクスピアの『夏の夜の夢』の妖精パックを思わせるシーンも。
最後に驚きの選択をする。

キンゴことクメイル・ナンジアニはパキスタン系。めちゃくちゃ陽気で、みんなひっそりと暮らしているのに、人間の世界ではボリウッドスターとして活躍。
でも動画と言っているので、スターなのかはやや謎(笑)
手からビーム?波動のようなものが出るので投げ武器専門といったところ。エネルギーを貯めて出すことも可能。途中どこへ行ったのか。
付き人のキャラが最高!

マッカリことローレン・リドロフ。
役柄と同じく彼女自身聴覚障がいをもつ。
ギリシャ神話のマーキュリーに由来。
超最速で動けるという能力はシンプルながら戦いにおいても有利。
地球を隅々まで移動、調査しているのでその知識量もすごい。
学者的でありながら肉体派でもあり、ある意味最強そう。可愛い。

ドルイグことバリー・コーガン。
一人雰囲気の異なる一匹狼の皮肉屋と思いきや、一時解散時にはアマゾンで彼を慕う人間たちと暮らす。
人の心を操る能力があるので、それを使ってでも人の争いを止めたくなる。
この葛藤はすごくよくわかる。
干渉はいけないと言われ、仲間とは一線を引くが、マッカリとは仲が良い。
悪役の多い彼だがヒーローの立場は新鮮で要注目。

…長くなり疲れたので書き始めたことを後悔する(笑)

神話というと、アベンジャーズならソーなんだけれど、その世界はほんの一部みたい。
たまに出てくるコズミックエネルギー。
ドクター・ストレンジとの親和性がうかがえる。
それについては『シャン・チー』もそうだったので、ドクター・ストレンジの続編が気になるのに、まだまだ先かぁ😔

キット・ハリントンがまだ関わってきそうなので嬉しいな。
あの“声”は誰なのか、調べたらおおっとなったので、良かったら調べてみてほしい。


2021レビュー#184
2021鑑賞No.415/劇場鑑賞#84


時間経っての平日とはいえ、あまり混んではいませんでした🙍
空海花

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