somaddesign

エターナルズのsomaddesignのレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
5.0
あの残った大岩の後始末が気になる。生態系や気候変動まで影響ありそう。もしくは観光名所に⁉︎

:::::::::::

マ・ドンソク先生、アンジー目当てで鑑賞。
「ブラック・ウィドウ」「シャン・チー」とMCU新章の入り口ばかり見せられてる。前置きばかり話す人とお茶してる気分。本題はよ!
MCU強者ならチマチマと匂わせてる要素に反応できるんだろうけど、こちとら知らんがな。

クロエ・ジャオ監督の過去作は「ノマドランド」しか見たことないけど、クールで寂寥感に満ちた自然風景。詩的なタッチが特徴的な作風だと思ってたので「MCUの新作がクロエ・ジャオ?」とは意外な組み合わせ。「ノマドランド」で注目されるずっと前から進んでた企画なんですってね。MCUの慧眼、恐るべし。

これまでのMCUの明快さ・痛快さや、裏腹のシリアスなテーマ性からするとだいぶ異質な作品で、賛否両論別れてしまうのも納得。興行的にもちょっと苦戦気味なのかしら。自分が見た回は比較的ガラガラだったような💧

作風の静かさも相まって、神話を現代的な映像世界で見せられてるよう。新しいヒーロー映画のあり方として、将来ターニングポイントに数えられるかもしれない。

とにかくすごいセリフ量。
物凄く大事なことをセリフであっさり説明しちゃうので、何かこう物語的な驚きがない。主人公たちが真相を解明することなく、親切な人が教えてくれたりアッサリ自供しちゃう。鋭角に物語が上下せずヌメヌメと波打つうちに、気がつけばクライマックス。ついでにクライマックスにメンバーが一人欠けてるってどうよ? しかも結構しょうもない理由で参加してない。どっかで途中参戦するのかと思いきや、結局…だったなあ。しれっとエピローグで顔見せた時ちょっとイラッとしちゃった。

ポリコレ配慮な多様な人種・性別構成が、ストーリーにイチイチ絡まないのが自分には心地よかった。多様であることが普通なら、逐一言及するのも野暮ったい。白人至上、ホモソ、マチズモから脱したヒーロー像は新時代の必然として、今作だと大義のための犠牲の是非、そもそも誰のなんのための大義か?を問う内容だった。

誰かに決められた自分じゃなくて、自分自身を形作るのは自分。ありふれた命でも過ごした時間がそれを特別な物にするって話は「星の王子さま」のバラとのエピソードみたいで、本作をより一層寓話的な物語にしてくれた。
欲を言えば、人間や地球上の生き物の言い分も聞いてほしい。なんだか現場と関係のない上位役職者だけで、勝手に生殺与奪が決められてしまう感じ。もちょっと当事者たちに葛藤や選択の余地をください。

サルマ・ハエック、しばらくぶりに見たら貫禄がすげえ。「フロム・ダスク・ティル・ドーン」「ドグマ」といった妖艶な美女っぷりはそのままに、深慮遠謀の年長者の優しさが加味されてる。頼れるリーダーで、母性も感じる温和な佇まいが印象的。出番の割に、物語全体に落とし続ける影響力の強さも良かった。

バリー・コーガンのこじれ青年っぷりが大爆発。孤独なわがまま坊ちゃんのようで、一番正論言ってる気がするのも素敵。あの仏頂面が魅力的に見えてきちゃうのって、なんなんでしょうね?恋?

家事スキルの高いマブリーが尊い。セナを支える良夫賢父っぷりも健気。ゴッツイ筋肉を生かしたアクションと、ピチピチのエプロンのギャップが可愛い。マ・ドンソク七変化映画として大変楽しかっただけに、物語から消えて以降、急速に映画への興味が薄れてしまった感ある。



余談)
あまりにデカすぎるアイツ。人間サイズとの対比で考えると、孫悟空とお釈迦様って感じ。所詮は仏の掌の上の出来事みたいで、急に東洋の神話になって見えた。ハリウッド超大作が急に香港映画に変化したよう。
それにしても、あのオチ。あれだけの立場の人が「一旦持ち帰って検討します」て言い草はなかなか言えたもんじゃない。もしかしたら大変有能な上司かもしれない。

72本目
somaddesign

somaddesign