arin

エターナルズのarinのレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
5.0
クロエ・ジャオ監督の画作りは豊潤にして美麗だ。
朝焼け、夕暮れ、夜明け、ビル街、夜景、ネオンなどなど、まるでカメラに映るものすべてを祝福しているかのような作風に、画面を見ているだけで目が幸せになる。

現実の美を讃歌する、いわゆる“アート系”の監督と、空想的な熱意を嗜好する“スーパーヒーローもの”とはいささか食い合わせが悪いのではないだろうか、そんなひねくれた先入観を持っていたのだが、鑑賞後大いに反省させられることになった。
それどころではない、クロエ・ジャオ監督は空想の世界も美的センスで燦然と照らし出してみせたのだ。
それは、本作「エターナルズ」という宇宙の摂理すら戯画的に表現する、MCUでも最大スケールの作品にバッチリとハマっていた。

これまでの「アベンジャーズ」シリーズが人類史の発展を主観的に描くものだとすれば、「エターナルズ」では人類史の発展を俯瞰的に描くものである。
なんと、今回のキャラクターたちは人類史を裏から7000年に渡り支えてきており、人間たちからは神々と同一視される存在なのだ。
「メソポタミア神話」を下敷きに、古代メソポタミア、古代インドに足をふみいれては、アーサー王にまで言及する。そして、コンキスタドールのインカ帝国での虐殺、広島での原爆投下など歴史的な事件から人間の本質に迫る。

どんでん返しのありのテンポよく進むストーリー、愛すべきキャラクターたち、ビジュアル面でのかっこよさに長尺映画なのにまったく退屈しない
。アンジェリーナ・ジョリーの美しさと、マ・ドンソク(本作ではドン・リー名義)のかっこよさは特筆モノ。

MCUといえば、作品の連関が楽しみの一つ。キャラクターがどう関係し合うのかがこれからの楽しみ。
arin

arin