建野友保

エコー・イン・ザ・キャニオンの建野友保のレビュー・感想・評価

4.1
ボブ・ディランの息子、ジェイコブ・ディランが案内役となって、60年代半ばのUS西海岸カリフォルニアの郊外、ローレル・キャニオンの地に生まれた音楽コミュニティを探っていくドキュメンタリー。
UK発のビートルズやローリング・ストーンズに刺激を受け、ローレル・キャニオンに集うミュージシャン同士も互いに刺激を与え・受けながら新しい音楽を紡ぎ出していった、当時の様子がありありと目に浮かんできます。
個人的には初めて洋楽ロックに接したのが1970年代初頭、どちらかというとUK発のロックに魅せられていたこともあって、The ByrdsもBeach BoysもCSN&YもBuffalo Springfieldも、お兄さん世代の古くさい“懐メロ”に聞こえていたのですが、久しぶりに彼らの音楽に接して、とても新鮮な驚きがありました。
大きなムーブメントの震源地になったローレル・キャニオンですが、各々のバンドが有名になり、やがてメンバー個々にやりたいことが異なっていって離散していく、そのあたりは諸行無常の感があります。
当時の逸話の数々も楽しいですが、映画のなかで登場してくるスタジオセッションの出音が素晴らしく、その演奏を楽しめるのも良いですね。期待以上に楽しめて満足です。
建野友保

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