真魚八重子

ロッジ 白い惨劇の真魚八重子のレビュー・感想・評価

ロッジ 白い惨劇(2019年製作の映画)
4.5
『グッドナイト・マミー』と同じく、ヴェロニカ・フランツという女性と、セヴェリン・フィアラという男性のコンビ監督。ヴェロニカの方は、ウルリッヒ・ザイドルの作品すべての脚本を担当しているので、柱は彼女の方だと思う。

これも親と子どもの不協和音の話。父に愛人ができ、彼女と結婚するという。それを聞いた母は拳銃自殺を遂げた。息子と娘はそのショックで、愛人の女性が許せない。それも、彼女はカルト教団の教祖の娘で、集団自殺から一人だけ生き残ったという特殊な経歴の持ち主。家の方々に飾られたキリスト教の飾りに、いまだに言い知れぬ感情を抱いているようだ。そしてクリスマス、家族は雪深いロッジで過ごすことになるが、父は出かけ三人だけが取り残される…。

ものすごく厭な話で最高。ちょっと雪に閉ざされて緩慢になってしまうけれど、つらい思いをした人たちが、顔を合わせる状態を作る父親がどうかしている。
ヴェロニカ・フランツの映画は、子どもたちが何を考えているかわからないから、とても恐ろしい。途中、誰の正気も信じられない。
真魚八重子

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