Yurari

プライベート・ライアンのYurariのネタバレレビュー・内容・結末

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

残酷なシーンが多いが、深く考えさせられる作品

第二次大戦時のノルマンディー上陸作戦が舞台。冒頭からリアルな描写が続き(グロテスクな描写が無理な人にはお勧めできない)、匂いまで伝わってきそうなリアルさに呼吸するのを忘れた。
冒頭は特に、リアルだが妙に無機質。感情が入り込む隙のなさは戦争の恐ろしさをより感じさせる。

なぜ1人の兵士を助けるために8人が任務につかなければいけないのか?
最後まで疑問だったのだが、ソウル・サバイバル・ポリシー、「生存者のための特別分離政策(国防総省指令1315.15)」というものが実際にあるらしい。これは、軍務により他の家族を失った兵士は、徴兵や戦闘任務から守り生存させることを目的とするもの。ちなみに3人以上の兄弟姉妹が軍務につき、うち1人が亡くなったら規定の対象となる。
ライアンの場合、タイプライターの事務員が偶然(?)ライアンの兄弟たちが戦死していることを発見したからこの制度が適用されたが、他にも同じ状況の兵士はいただろうなと思うと、なんともやるせない・・。
しかし、現実はこんなものだろう。運命というべきか。

一番イライラさせられたのはアパム。通訳要員で実戦経験がないとはいえ、ビビリすぎでしょ。。階段でガクガクしているシーンでイライラはマックスになった。が、ふと、自分が一番近いのはアパムではないかと気が付く。戦時中という異常事態のなか、恐怖心と戦いつつもアドレナリン大放出状態の他の兵士と比べ、アパムは常に恐怖心が勝る。そして道徳的であろうとする。この道徳心が、仇となるわけだが・・。
ミラー隊の兵士を殺したドイツ兵は、階段の途中でガクガク震えているアパムを素通りした。アパムは殺す価値がないと思われたのだろう。これは、アパムのこの後の行動にきっかけを与えたように思う。

ミラー大尉が命がけで救ったライアンはというと、家族に囲まれて幸せそうではあるものの、「助けに値する人物か」は分からない。平凡だが、幸せそうな老人だといったところ。しかし、ミラー大尉の言葉がライアンにはずっと残っていた。ミラー隊は、確かに意味のあることをした。いや、そう思わないとやりきれない・・。
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