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プライベート・ライアンのAのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
3.5
冒頭15分くらいの映像と最後のドイツ兵とやり合う映像は、まさに「最悪」という言葉がピッタリの残酷具合で、精神が削られていくような感じがする。現実で起こっている戦争があれなら、一刻も早くやめた方が良い。戦争の結末にどっちが悪いとか英雄とかない、始めた時点で恥だと思うべき。観ている人間がそう感じるほど、訴求力のある映像だった。

アパムという歩兵が大変害悪だったが、視聴者の精神削り担当としては非常に有能だった。彼の掲げる薄っぺらい正義と弱さに巻き込まれた人間が哀れで仕方なかった。アパムは結局、自分の生命が危険に晒されていない時にしか正義を語れず、自分が有利な場面でしか銃を使えない。振り返ってみると、彼が一番欲深い人間だったと思う。アパムも戦争が生んだ悲劇の一つなのかもしれない。

2023(44)
A

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