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プライベート・ライアンのAKANEのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
5.0
開始30分で既に名作であり、数少ないスピルバーグが撮る戦争映画。舞台は1944年第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦(歴史上最大規模の上陸作戦)直後。作戦の結果、兄弟4人のうち3人が戦死したライアン家の末っ子を進行中のアメリカ軍の中から見つけ出すという命令がトム・ハンクス演じるアメリカ軍のミラー大尉のもとに届きました。作中なんでヨーロッパに上陸中のゴリゴリの戦争中に兄弟が死んだからって探し出さないといけないの?!って思いました。たった1人の兵隊のためになぜ精鋭部隊が組織され、動くのかと。その理由は「ソウル・サバイバー・ポリシー」という制度が関係していました。「ソウル・サバイバー・ポリシー」とは、複数人の兄弟が存在する家族で1人を残して全員が戦死した場合、生存する最後の息子を保護しなくてはならないというアメリカ国の実在する制度です。兄弟が全員戦死し、一家の存続が途絶えてしまうのを防ぐため末っ子のジェームズ・ライアンを救い出し保護し帰国をさせよ。が軍の命令でした。ただ本作の要ともなるこの「ライアン救出作戦」は実話ではありません。しかし原案になった人物は実在します。同じく4人兄弟で3人の兄を亡くした末っ子フレデリックは映画と違い自力で合流したため救出隊が組織されたという事実はないのですが、事実に基づいているというのが映画の良いスパイスになっていると思いませんか?しかも超皮肉なことにそのフレデリックの3人の兄が亡くなった巡洋艦ジュノーを撃沈したのは旧日本軍なんです。。。。oh my god過ぎでは。。。。?

おもしろいのは上記の設定だけでなく撮影の方にもあります。この作品が今後の映画の撮影技法に影響を与えたのはもちろんですが普通、出演者や撮影のスケジュールから効率性を重視し、撮りやすいシーンから撮るのが普通です。しかし今作は演技に重みも持たせるためストーリーに沿った撮影がされました。その結果、撮影が長引くとおもいきや約3時間の長編映画にもかかわらず、わずか60日間という驚異的な早撮りでクランクアップしているのには驚き。また最重要人物である救出対象のライアン役のマット・デイモン。(でてきたとき声出た!お前ライアン役かい!って)そんな彼は撮影期間直前に行われたトム・ハンクス率いる救出隊役メンバーが挑んだ10日間の強化期間(ブートキャンプ的なもの)に参加せずそれが終わってから撮影に合流しました。それも救出隊役のメンバーから自然と「は?」という自然なマイナスな感情を引き出させるためだというから恐ろしい。

↓以下詳細Wikipedia先生
【クランクイン直前にトム・ハンクスをはじめとした出演者たちは、リアルな演技をするために元海兵隊大尉のデイル・ダイの協力の下、ブートキャンプ同等の訓練を10日間受けさせられている。その内容は、教官がいきなり彼らに向かって発砲(空包)したり、当時の兵士達が携行していたものと同じ装備を背負って延々と行軍するといった厳しいものであった。ライアン役のマット・デイモンはこの新兵訓練のメンバーから意図的に外されている。これは10日間の過酷な訓練を通じて救出隊のメンバーにマット・デイモン=ライアン二等兵に対する反感を植えつけるためであった。訓練を終えたトム・ハンクスたちは、休む間もなく2週間にもおよぶ戦闘場面の撮影に臨んでいる。この過酷な進行によって撮影当初の和んだ空気が消えて荒んでいた彼らのところに、事情を知らないマット・デイモンが新兵よろしく颯爽と撮影現場に現れると、当初の意図通り険悪な雰囲気となった。これら一連の相乗効果によって演技はリアルで緊迫したものとなり、作品テーマの一部に組み込まれている。】

天才!!ブラボー!!ほんで可哀想!!!!
マット・デイモン!!!!!!!笑

彼以外にも俺たちのヴィン・ディーゼルや存在感あるキャストが勢揃いしているんですが、そのなかでもバリー・ペッパー演じるジャクソンがめっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃかっこいい。「神が味方するものに敵なし」神への言葉を唱えながら射撃するほど信心深く、次々と敵を打ち抜いたりするのに戦地でも子供のような姿でスヤァ…するギャップ。THE 天才肌な感じがたまらない。裏主人公でもあるアパムの行動はリアルすぎて、観ていてとても苦痛でした。もっとはやく自分と向き合ってほしかったや。またそれもリアル。

今回改めてしっかり観れてよかったです。古い名作、ちゃんと観ていかないとな👉🏻👈🏻
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