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プライベート・ライアンのrensaurusのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.3
「戦争の悲惨さ」という言葉ではとても形容し切れない冒頭30分。あまりにも惨たらしい情景、視界が狭くなり、ぼけるような映像、耳鳴りや音が入ってこないような感覚をうまく再現した音響効果など、映像表現としてこの上なくリアルに描き出されており、言葉や説明なしに、『反戦』を体感できる。

命の価値など計量不可能であり、正義や大義ほど曖昧なものはないが、各々が各々の信念に基づいてもがいている姿は人間らしく、意味や価値を信じることの美しささえも感じられる作品だった。

印象的だったのはやはり戦闘経験の乏しいアパム。人間の殺し合いを目の当たりにして茫然自失となってしまう姿に、えも言われぬ痛みを感じたし、彼のような人間でさえ戦闘に参加せざるを得ず、ラストシークエンスでは敵を銃撃するほど人を変えてしまうというような、戦争の嫌な面が良く表されていたと思う。
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