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プライベート・ライアンのKKのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.1
10人の仲間を救うために1人の仲間を犠牲にした。
より多くの人を救うために、仲間を犠牲にする。
仲間が1人死ぬ度にそう思わなきゃ、
やってられなかった。


ライアン二等兵、彼1人のために仲間を危険に晒す。彼一人を助けるために、仲間が命を落とす価値はあるのか。
戦争という状況で、果たしてそれをするだけの価値があるのか分からない作戦、それでも上官には逆らえない現状、仲間を殺した相手を殺してはならない矛盾。
様々な葛藤をもった兵士たち。
そんな彼らを1発でまとめあげたミラー大佐、流石です。
トム・ハンクス(ミラー大佐)半端なくカッコイイなぁ。
あんな上司は最高そう。

ライアンを見つけ、帰らせようとしてもライアンが残って戦いたいと言ったのに対し、「お前を救うために2人が死んでるんだ」と言われた時のライアン(マット・デイモン)の表情が印象的。
兄弟の戦死を知った悲しみ、仲間を見捨て自分1人では逃げられない気持ち、自分のために命を落とした2人の思い、どうして自分なんかのためにそこまでしたのか。自分のために、仲間を失った彼らが自分に対してどんな感情を抱いているかも、恐らくライアンは分かっていたと思う。
色んなことを考え、悩み、出した答え。
それに対してミラー大佐もまた、ライアンがどのような思いでそれを言ったかを理解し、受け止めたんだと思う。
2人ともカッケーし、それに従った他の兵士たちもカッコイイ。

アパムの弱さ、1人だけ震えて何も出来ず、仲間が死んでいくのをただ見ているだけ。見ていてめちゃくちゃイライラするし、戦えよ!って思うけど、あの場で、そしてその後もずっと、1番悔しくて1番惨めな思いをするのはアパム本人なんだろうと思う。

自分は生き残ったからこそ、仲間を助けられなかった意識に囚われていくんだろう。



傷を負い、命が尽きるまでは、そばにいる。尽きたあとは、タグをとり、前を向く。
戦争とはそういうものだと、みんな知っている。
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