YYamada

プライベート・ライアンのYYamadaのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.2
なぜ?【アカデミー未受賞の大傑作】
第71回 (1998) アカデミー作品ノミネート
◆同年のアカデミー作品賞作品
 『恋に落ちたシェイクスピア』

〈見処〉
①戦争映画のセオリーを超えた大傑作
・連合軍の勝利の契機となった、第二次大戦時のノルマンディー上陸作戦の史実のうえに、1人の兵士の救出に向かう兵隊たちのフィクションの物語を描いた戦争映画。
・原題『Saving Private Ryan』は「兵卒ライアンの救出」という意味である。
・本作の冒頭20分のオマハビーチ上陸シーンは、映画史に輝く重要シーン。「鮮血で赤く染まる海面」「海上に差し込む銃弾」「肉塊や手足が飛び散る銃弾シーン」など、過去作品で観ることの出来なかったリアリティーの高い映像は、公開後20年以上経った現在でも、他作品では観ることは出来ない。
・また、終盤の廃墟街の攻防シーンにおいては、ドイツ軍の戦車進行を廃墟に映る影で描写するなど、スピルバーグ監督の硬軟併せ持った演出は素晴らしい。彼の最盛期作品ではないだろうか?

②凝密の180分
・3時間を超える長編、かつ濃密な戦闘シーンが続く裂く分ながら、わずか60日間という驚異的な早撮りだったそうだ。
・また、トム・ハンクスらの救出チームの俳優陣は、撮影直前に10日間のブートキャンプを受けさせ、そのままクランクイン。過酷な環境の事情を知らないマット・デイモンが、颯爽と撮影現場に現れると険悪な雰囲気となったそうだが、それらの成果が、ライアン救出時の緊迫したシーンに反映されている。

③なぜ、作品賞をとれなかったか?
・アカデミー戴冠を果たした『恋に落ちたシェイクスピア』を今さら再鑑賞する気持ちになれないので改めて比較対照出来ないが、史上最高の戦争映画の呼び声が高い本作が選考されなかったのは「素晴らしかったのはスピルバーグの演出であり、作品全体の完成度は及ばない」「新興のドリームワークス作品を敬遠」くらいしか思いつかない。
・本作が作品賞を受賞していれば、過去作品のなかでも、上位の傑作として評価されていたに違いない。
YYamada

YYamada