鈴鹿

ロシア52人虐殺犯/チカチーロの鈴鹿のレビュー・感想・評価

3.8
地味なおっさんしか出てこない刑事ドラマの傑作。

監察医からいきなり捜査を命じられ、何年間も辛抱強く地道に捜査を続ける冴えない風貌の主人公と、
飄々とした典型的役人と見せかけてソ連官僚社会を上手く生き抜いていくドナルド・サザーランド演じる民警少佐のコンビが良い。

そして実際の強烈な写真の印象が強いが、作中では人畜無害な小市民にしか見えないチカチーロが良い。

有名過ぎる事件で、今作ればショッキングな殺人シーンとザ・全体主義のおそロシア!って作風になりそうだが、
本作は凄惨な描写もほぼ無く、超お役所仕事と官僚主義が蔓延する体制に苦しみながら、地道に捜査を続ける主人公達のひたすら真面目で硬派なドラマ。
全編英語のアメリカ映画だけど、所々にソビエトの生活描写があるのも嬉しい。

後半、90年代に入り体制が変わり、ようやく主人公の長年の働きが認められて、犯人逮捕に乗り出すシーンはグッときた。

VHSレンタルでようやく観れたが、もっと観られて欲しい隠れた名作。
鈴鹿

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