津軽系こけし

フリー・ガイの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

フリー・ガイ(2021年製作の映画)
4.1
メタの奇術師レイノルズ


【グランドセフトオート】

変わらぬ日々にあったガイがプレイヤーたちを一網打尽にして自由を勝ち取るところは、ライアンレイノルズ自身のキャリアとも重なっているようだ。

「”ヒーロー”にはなれない」

「トュルーマンショー」のような、世界が偽物だと気づいた主人公がどう生きてゆくかという話。また、その主人公の姿そのものが作品のテーマにもなってる。そのため、やはりジムキャリーのような我の強い俳優が映えるわけで、事実ライアンレイノルズのキャスティングはこの作品のユーモアを拡大してくれた。

まあ彼のことなので、どういうネタを扱うかは察しがつくが…笑

【ゲーム世界】

ゲーム好きとしてはロックマンが出てきたり、ポータルネタがあったりいろいろワクワクするところはあった。近年のゲームの進化に伴って、映画界隈でもトレンド的扱いはされているが、やはりやるとすれば「レディプレイヤーワン」のような情報の応酬頼りである。
映画とゲームの繋がりには個人的に注目しているのだが、今のところそこに挑戦しているのは小島秀夫とクアンティックドリーム(フランスのゲーム会社)くらい。

ハリウッドではゲームの真価がどれぐらい認識されているのだろうか?マリオカート楽しいな〜ぐらいに思われてるのだろうか。「デスストランディング」のインタビューでもマッツ・ミケルセンは、自身のゲームに対する見地の浅さを述べていた。それがどれほどの見地なのかは判然としないが、マッツほどの知識人がそうなのだから、やはりそこまで真剣に議論されていない気がする。

しかし、私は来るべきそのゲームと映画を繋ぐ名作に、今もなお胸を躍らせるのである。

【サイバーパンクがやりたいまとめ】

レイノルズ節全開のトュルーマンショーと表現するのが的確か。どうせならR18ぐらいまで突っ切った方がレイノルズのユーモアを存分に発揮できたと思うけれど、このシンプルでスマートな出来栄えを前にはそれも戸惑う。
監督のショーンレヴィと言えば「インターン」や「マイスティール」など、テクノロジーを前にした人間の話がやはり多い。ある意味、彼は技術革新がめざましい昨今では水を得た魚そのものだろう。これからも期待。
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