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You Don’t Nomi(原題)のGreenTのレビュー・感想・評価

You Don’t Nomi(原題)(2019年製作の映画)
1.0
悪名高い1995年のポール・ヴァーホーヴェン監督作品、『ショーガール』のドキュメンタリー?と言っていいと思うんですけど、なんかピンと来なかったです。

『ショウガール』公開当時のTVニュースの街頭インタビュー、映画評論家たちのTVショウや新聞記事などで、この映画がいかに酷評されたかを紹介し、それから監督のポール・ヴァーホーヴェン、脚本のジョー・エスターハスの履歴やインタビュー、撮影フッテージなどを紹介。DVD発売後からカルト的人気が上昇し、今でもローカル・シアターなどでステージ・プレイとして演じられているところなどを紹介しています。

ラジー賞を9個?も獲ったらしいのですが、笑顔で授賞式に現れ「すぐに忘れられるより最悪映画賞を9個もらうほうが嬉しい!」と言い放ったポール・ヴァーホーヴェンの映像を見られたのは面白かったですが、この映画を取るにあたって改めて監督や出演者にインタヴューしたということもなく、昔の映像なんかを継ぎ接ぎして作っただけで、この映画を制作したジェフリー・マクヘイルって人が『ショーガール』は実は名作だった、って本を書いた人なんだと思うんですけど、とにかくごちゃごちゃしていて良くわからない映画でした。

『ショーガール』からの映像に、映画評論家たちの評が乗って語られるんですけど、その評論がなんだか的を得ないものばかりなのと、公開当時の評論なのか、現在カルト的な人気が出てきてからの評論なのかわからなくて困惑しました。

『ショーガール』に関する解説や分析も少し出てくるのですが、なんかあんまり賛成できるものでもなく、例えば「黒人キャラは、ノーミの成功を盲目的に信じて応援するだけのキャラ」とか、どこどこのシーンで、最初はノーミがフレームの右側にいるのに、途中から左側になるのは、彼女が場をコントロールしているということ、とか、「そうなの?」みたいな。

『ショーガール』で酷評されたために業界から干されてしまった主演のエリザベス・バークレイの経歴も紹介しているのですが、『ショーガール』前TVシリーズに出ていたことと、後にはゲスト出演したTVショウがいくつか紹介されていただけで、本人のインタビューもないし、あまり本気で取材していないなあと思いました。

また、カルト・ファンたちがローカル・シアターで演じる『ショーガール』のステージ・プレイも、あまりにもレベルが低いというか、まあ〜草の根的な人気があるって言いたいのだろうけど、うーん・・・『ショーガール』ファンの自分としては、「わあ〜面白そう」って思うより、「やめてよ・・・・」って言いたくなるような・・・

だって、『ショーガール』自体が業界のパロディなのに、それのパロディを素人が演じる、みたいなのを見ても面白いのかな?それに『ショーガール』は、パロディでありながらダンスのクオリティが高いんだけど、舞台をやっている人は殆ど踊れない人ばっかりで、それを自虐的に演じているのとかあったけど、ちょっと見ていられないなあと思いました。

まあそんな感じで、ドキュメンタリーを作るならもっと取材して欲しかったし、あと、どういう姿勢で、何を伝えたくて制作しているのか、自分たちでわかってないのでは?と言う印象を受け、『ショーガール』ファンとしてはガッカリしただけでなく、ちょっとイラっと来てしまいました。これを観るならちゅ~ぶに上がってる2017年のヴァ―ホーベン監督とジーナ・ガーションのQ&Aの方が全然興味深いし面白いと思いました。
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