2004年に公開されたルーニーテューンズ実写化映画『ルーニーテューンズバックインアクション』を監督したジョーダンテは、
その前作のマイケルジョーダンが共演する『スペースジャム』を観た時、盛大にブチギレたそうだ。
ルーニーテューンズのアイデンティティたる過激でナンセンスでキレッキレなネタが何一つなく、
親が安心して見られる超お子様向けの作品だったのがその原因である。
そのことが頭の中をよぎる映画。
ワーナーのトムとジェリーが実物のマンハッタンを舞台に大騒動を起こす話。
いつもの追いかけっこギャグは思ってた以上にレパートリーが豊富で、特にバットマンのパロディとピタゴラ装置は見ていて面白かった。
二匹達が騒ぎを起こすとその場所は跡形もなく破茶滅茶に散らかってるのも良い。
だがしかし、
肝心のギャグのキレとテンポがすこぶる悪い。
トムとジェリーがいつも通りのドタバタをやって、
(ようやく面白くなってきたかな。)と思った途端に実写の役者達が話に割って入ってきてしまいギャグが止められてしまう。
"トムとジェリーらしさ"が悪い意味でセーブがかかっていて、二匹が繰り広げるネタは面白いがストーリーがゲロマズに面白くなかった。
多分『スペースジャム』と同様でファミリー向けに作ってあるからだ。
なんのための実写だ。
いつもやりたい放題してる奴らがアニメの枠から飛び出して、カートゥーンなドタバタギャグで本物の世界を蹂躙するためではないか。
これは他の作品にも言えることなんだけど、こういう映画は実写だからこそ、いつものように笑えるキレッキレなギャグを『グレムリン2 』のようにフルコースかつ徹底的にやるべきだ。
ハートフルな歌や展開は入れてもいいとは思うけど、それによってギャグの良さが阻害されてはならない。
ただ、吹き替えはかなり良かった。
千葉繁さんの吹き替えはどの作品でもやっぱり面白いです。