このレビューはネタバレを含みます
子供を授かることができず、特別養子縁組をしたにもかかわらず子供を返して欲しいと言われた夫婦の話。っていうくらいしか情報なく観てました。
井浦新の居酒屋でのシーンの芝居で一気に物語に引き込まれていきました。永作さんのお芝居もって名前出したらキリがないくらい、この作品に出てくる役者さんのお芝居が自然で、本当のドキュメンタリーを見てるようでした。
後半の、望んだタイミングではなく子供ができてしまった若い女性、金銭的状況的に育てられない女性、さまざまな人がいる中で、純粋に愛していた男の子との間にできた赤ちゃんを特別養子縁組に出すことになった中学生の女の子が子供を手放すまでとそれからどのようにして生きてきたか。
この物語の主役はまさしく彼女だった。親や周りからこの事実を無かったことにされ早く受験に切り替えろと言われる。本当に好きだった男の子との子どもだったから余計に心に穴が開いていく。
「なかったことにしないで」という彼女の言葉がすごく胸に残ります。
それからの彼女の人生も、華やかだったあの頃と比べてしまうとなんとも言えない虚しさに包まれる。
これは映画だけの世界じゃなくて、現実にも起きていることなんだということをまずは受け止めていくしかない。
2021.10.5.68本目
