ピースマイル

カセットテープ・ダイアリーズのピースマイルのレビュー・感想・評価

4.5
ブルース・スプリングスティーンを好きな人とそうではない人で評価が変わるのは仕方がないと思う。
僕は大好きです。葬式で流す曲もBOSSの曲がいいと思うくらいには好きです。

映画の大きな方向性は同じイギリス映画の「リトル・ダンサー」や「シング・ストリート」と結構似ています。時代すら結構一緒です。
3作品とも親父が失業するし。

ただ、音楽を扱う映画としては実は結構日本人にこそ響きやすい内容だとも思います。
映画の主人公はパキスタン系イギリス人(しかも田舎者)で、敬愛する音楽はアメリカ人シンガーのブルース・スプリングスティーンです。
僕も洋楽邦楽問わずロックンロールが好きですし、日本の田舎でイギリスやアメリカの、しかも言語すら違う音楽に人生揺り動かされています。

この主人公のように「今!この人は俺だけのために歌いかけている!!」という経験は誰しもあるのではないでしょうか。
海を越え言語を越え時代すら飛び越えて、自分のためだけに届けられるメッセージ。
なんという傲慢。
その喜びを見事にパッケージした一作だと思います。 

ラスト、何の曲がかかるか。
BOSSの事を知っていて、映画を観ていたらすぐにピンときます。
あ、あの曲がかかる、間違いなくかかるって。
で、実際にホントにかかるんですよ。
それだけ分かりきっているのに、やはりイントロの「ドドゥドゥドゥ‥」とかかった瞬間に号泣。
我ながらベタすぎて情けない。でも号泣。