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女囚701号 さそりのryotaのネタバレレビュー・内容・結末

女囚701号 さそり(1972年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

私がリスペクトする日本映画の一本です。現代ではコンプラ云々で絶対に映画化不可能(もしくは猛烈な反対運動なんかも起こるかも)な、貴重な一本だと思っています。このダークで陰湿な世界観は世界に通じるくらいの日本らしさとも言えるでしょう。今回久々に見直して、またちょっと印象も変わったので記しておきます。

劇画タッチでありますが、話はあってないようなものです。男に裏切られた主人公松島ナミが刑務所で酷い目に遭いながらも、脱獄して男に復讐するというものです。展開は荒っぽいし、ご都合主義的なところも多いし、何よりいろんなところが今見るとチープです。それでもね、やっぱりすごかった。暴力、ハダカ、リンチ、レイプ、殺人、、、これでも勝手くらい暴力的な映画ではありますが、この尋常じゃない世界観を味えわえる楽しさったらありません。えぐいイジメ(というか暴力・リンチですね)の連続にほぼ抵抗せずに受け止める主人公の松島ナミがなんとも凄いんです。最初に見た時は、もっと反撃して戦えばいいのにと期待してモヤモヤしたんですが、今は違って見えました。耐えるところがすごいんです。狂った看守とか女囚人とか周りは敵だらけで、唯一の味方の子は殺されてしまいます。それでも、ひたすらチャンスを待って待って待って活路を見出す松島がなんともかっこいい。梶芽衣子さんの目力と迫力は他の追随を許さない唯一無二で、今だったら絶対世界に誇れる日本のスターになってたと思います。梶芽衣子さんなしでは絶対に成立してない映画です(後年いくつかさそりシリーズ作られましたが、どれもがっかりばかり)。タランティーノが絶賛したの、当然です。

最後に。
もしかしたら今現在も、裏の世界(会社や学校)で日常的に行われているかもしれないです。自殺したり、絶望したりする前に、酷い目に遭ってる人は騙されたと思ってこの映画観て欲しいです。仕返しで人殺しちゃうのはもちろんダメだけど、自分を強く持ち、グッと睨み返すことができれば、それだけで活路が開くかもしれません(※私の個人的感想です)。きっと松島ナミから勇気もらえると思います。それだけ、価値がある映画だと確信しています。
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