レインウォッチャー

女囚701号 さそりのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

女囚701号 さそり(1972年製作の映画)
4.0
テレレレッテレ~。女は眼で殺す、とはよく言ったもので、徹頭徹尾《視線》の映画だ。

男たちが上から見下ろし踏みつける下卑た視線を、松島ナミ(梶芽衣子)は地獄からせり上がる青い炎のような眼で射返す。孤高な彼女のEye・哀・愛。
序盤に自身の回想(投獄されるに至った経緯)を喋った後はみるみる台詞も少なくなって、実体をとうに離れて純粋な精神だけが残った亡霊のような存在感で、眼だけが爛爛と輝き続ける。

恥づかしながら初見となったわけだけれど、そりゃあこんなもん誰かさんは『KILL BILL』を作っちゃうだろうし、あらゆるリベンジ・キラー映画のゴッドマザーになり得るだろうと納得しきりである。あと、ナミが墓の底みたいな懲罰房で耐え忍ぶ場面は『ジョジョの奇妙な冒険 第六部(ストーンオーシャン)』の徐倫を思い出したな。

とにかく外連味だけでできている映画、外連が次の外連を連れてきて小外連中外連大外連、床はライトアップ、背景は回転、破瓜と日の丸が重ねられ、空は血のように赤い。これは演劇、というよりは歌舞伎か。実際、なんかいきなり女が歌舞伎風メイクになって襲ってきたりもする。なんて楽しいんだ。浅草花やしきくらい楽しい。(褒めてるのか?)(褒めてる。)

銃が「バキューン!」って鳴る映画を久しぶりに観て、なんだか心が穏やかになった。これでよかったんだ。

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日本で、この手の系譜(エクスプロイテーション系?)はその後どういった変遷を辿って、現在どうなっているのだろう。絶滅してしまったのか。意外と『ベイビーわるきゅーれ』に繋がったりするのか。しないのか。
そのへんまったく知識がないので、今後の宿題としたいところ。