Fitzcarraldo

女囚701号 さそりのFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

女囚701号 さそり(1972年製作の映画)
2.0
梶芽衣子が唄う主題歌「怨み節」の作詞まで書いている女囚シリーズ第一作目の伊藤俊也監督作。

"君が代"が流れ、そこへお馴染みの東映波しぶき…日の丸の国旗がはためく。おぉ出だしからカッコイイ!表彰式の最中サイレンが鳴り脱走…

泥濘に背の伸びた草を掻き分けて颯爽と走る梶芽衣子。『殺人の追憶』で似ているシーンがあったが、これがまさかの元ネタ?んなわけないか…

所長
「701号!オマエの馬鹿な脱走のお陰で、他の罪のない女囚たちは苦労しておるぞ」

いやいやいやいや嘘でしょ⁈なにこの脚本どうなってんの?罪を犯したから収監されてるんじゃないのですか?他の罪のない女囚たちは…え?冤罪?無実の罪なん?萎えるわぁ…こういうの。なんで誰も言わないの?
「監督!この台詞なんですけど…」って役者も言おうや!

それにしても汚ねぇ独房だこと。
水がポツリポツリと滴り落ちて水溜りになってるところへ、配膳係の意地悪婆さんが、震えてる梶芽衣子を見て、寒いのかい?いま暖めてあげると、ボロ切れをその汚ぇ水溜りの中にたっぷりと浸して…ビショビショになった布キレを梶芽衣子に掛ける。うぇ気持ち悪ぃ!小川直也ばりの鋭い眼光で顔色ひとつ変えない梶芽衣子…う…美しい。


回想シーン

いまは亡き夏八木勲登場…めちゃくちゃ若い!そしてだだっ広いところで白いシーツを巻いて裸で抱き合う2人。
梶芽衣子のアップからオーバーラップして真っ白なシーツが…そこに処女喪失の表現なのか…日の丸のように中央に赤い血が滲み出る…オープニングの日の丸と呼応していてよき編集。ちと古臭いが…

引き続き回想シーン

警察の犬だとバレて倒される梶芽衣子…パッと画面が切り替わり、梶芽衣子の真下から見上げるショット!透明な強化ガラスのようになってて真下から見上げる画は、人によってはコントにも見えかねないが、真下から梶芽衣子が犯さられるのを観察できるのは気持ちいい。
これは"Kill Bill: Vol.1"で青葉屋の戦いでも同様に床下から見上げるショットをタランティーノは引用していた。

カメラが地上、つまり梶芽衣子を上から撮る時はガラスではなくなりキラキラする床に変わる。
夏八木勲に裏切られて、キラキラした床の下から赤い照明が当たり梶芽衣子の上から緑の照明が当たると…デビルマンにしか見えない。ちと笑っちまうが、この仰々しい演出は舞台のようで好みではない。

独房に戻る…

配膳ババアに熱々味噌汁の仕返しをしてやったことに対して、看守が3人がかりで梶芽衣子に吐け!吐くんだ吐け!と殴る蹴る!警棒でアソコをグリグリしたり…あのー…
一体なにがしたいんでしょうか?
吐かせる必要ありますか?
吐こうが吐かまいが、すでに無法地帯でやりたい放題やってるじゃん…コイツらの法令遵守の基準が分からない。

看守
「両手両足縛られておきながら、どうして味噌汁かけることができたんだ!?」って凄まれても…

配膳ババア死んだわけじゃないし…火傷やろ⁉︎そっちに聞けばいいんちゃうの?単純に!そんなに知りたいならさぁ!

しかも、配膳ババア真っ赤な血を流して運ばれてたけど…頭から味噌汁かぶってもね…火傷だからね。血だらけにはならないでしょ。いい加減やなぁ。
一方は血まみれで運ばれたけど梶芽衣子は変わらずクールビューティーで無傷…なんで?同じ味噌汁かけられてたけど…量の問題?そんなことあるかぁ!

映画だから何やってもいいんだけど…辻褄くらい合わせてほしい。

梶芽衣子の仕込みに逆上して今度はデブが急に隈取りメイクで歌舞伎者に大変身!なんやこれ…

もうなにがしたいんだよ…
穴掘らせて…掘ったり埋めたり…まわりくどい…

ユキが梶芽衣子の盾になって撃たれる。そして死に際に血でカタギリとダイイングメッセージ。おいおい茶番かよ!

そして簡単に倉庫に立て篭れるし…人質の警官は女囚人どもからレイプされて最高かよ!人質でもなんでもないじゃん。ありがたい乱行。

人質取って立て篭もってるのに、このアンポンタンどもは不用心にみんな寝てるし…
そこでカタギリが火をつけようとしたところ…
「みんな起きないと火あぶりにされるよ!」と、このたった一言だけで簡単に寝返り、カタギリを今度は吊るしあげる…なんやねん。
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