フジタジュンコ

Winnyのフジタジュンコのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
3.8
私自身は大学生の頃から旧2chユーザーで、長らくインターネット業界にいるもので、Winnyについての報道も当時見聞きしていたのもあって、あの当時のことを懐かしく思い出しながら見ていた。2chの連中の裁判費用のカンパの通帳を金子氏が読み上げるシーンにはぐっとくる。
東出さんは「棒出」とか言われるくらい演技がヘタだと思っていたが、空気の読めない飄々とした感じや、関心のあることにはひたすら夢中になるふるまいなど、丁寧な演技に好印象を抱いた。

本作の元になったのが金子氏の弁護士による手記なので、金子氏寄りの主張がメインであり、実際にセキュリティ研究者のひろみちゅこと高木浩光氏や、つい先日はドワンゴの川上量生氏がおそらくこの映画を鑑賞してだと思うが、疑義を呈している。
金子氏が今も存命だったら、インターネット上の著作権について、そしてソフトウェア開発における倫理についての議論が深まったかもしれないし、もう少し発展していたかもしれないと思うと、夭逝がともかくも惜しまれる。