ちべっとまんそん

Winnyのちべっとまんそんのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.0
社会派ドラマ映画。
P2Pのファイル共有ソフトWinnyをめぐって、開発者である金子勇が著作権法違反幇助で逮捕、裁判にかけられる話。
Winnyによる違法アップロードやその脆弱性を悪用したウィルスによる情報流出事件が多発したことは記憶に新しい。
といいつつ、もうあれから20年近くに経つことに驚きを隠せない。

「包丁が犯罪に使われている」「包丁を作る包丁職人が悪」と言わんばかりの当時の警察と検察を相手に、使う側のモラルの問題、このままでは日本の開発者が萎縮してしまう、と金子勇とその弁護団は裁判で徹底抗戦をしていく。

事件や裁判の様子や、金子勇の人柄がよく描かれている。懐かしのWindowsXPの画面やJALの飛行機など当時の風景も事細かく再現されている。

個人的にはこの問題はとても難しく、今の時代においても悩ましいことだと感じる。
違法に使われている認識がありながら根本的な対策をとらなかったことは確かに問題ともいえる。しかし自由なアイデアのもとで開発ができなければ、技術の進化はありえないのである。

当時は個人によるフリーソフト開発の全盛期だが、現代のように守るべき法律やルール、セキュリティの指標になるものがなく、良くも悪くも自由な時代であった。この事件は法令整備やセキュリティへの意識の高まりなどが加速するきっかけになったのではないかと考えている。

良い側面も悪い側面もあったが、金子勇の功績は偉大なのだ。