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Winnyのshunsukehのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
2.5
主人公金子勇はプログラム開発の天才である。恐らく、作曲の天才がいくつものパートのメロディーを、同時にあとは音符にするだけのレベルで頭に思い浮かべられるように、頭にプログラムが浮かぶ人だったのではないか。そして、彼は、子供のように面白いからそれをやる。夢中になる。しかし、彼の優れていたのはそれだけではない。彼が作り出すものが世の中の役に立つかどうかという判断基準を持っていたことが素晴らしい。性格は優しく、人を疑わないお人好し。しかし、信念はぶらさない。彼のこうした人間性にほだされた弁護士壇俊光との公権力と対峙する奮闘は清々しい。そして、彼らが持つ、あとに続く開発者のために道を開くという気概は尊敬に値する。金子勇は裁判のため、7年半という期間プログラム開発ができなかった、これは、この国のプログラム開発の進展にとって大きな損失であったとも言えるが、一方で、彼らが苦闘の末勝ち取った結果は、後進のための道を作った。金子勇の人生は、開発者としての無念を残しながらも、使命を果たし、やり切った思いのあるものだったのではないだろうか。
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