ぺぷ

Winnyのぺぷのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
3.9
エンドロール後に流れた、上告後に無罪を勝ち取った金子さんが記者会見を受ける映像の一部。
「今回の裁判はだれのせいで起こったと思うか」という趣旨の質問に対して、「誰も悪くない、ので自分に押し付けられたのではないかと思う」というような回答にどきっとしました。

エンドロールを観ながら、結局どうしてプログラムの開発者が警察が原告となる裁判にまで繋がったか、ということを考えていました。当時の空気感(一般的にインターネットはどんなタイミングで、どう使われていたか、セキュリティや著作物に対する意識、対策などのリテラシー、さらにこれを取り締まる組織の認識など)が分からないこともあって、自分の中でだれが、あるいは誰と誰の関係性によって構成された相関図のどこが原因の1つだったのか判断しきれませんでした。
そこが着地点でいいのだろうか?
次に同じような構造(社会的な損害が一定数以上発生している、発生することが十分に考えられる一方で、それがさまざまなセグメントの関係性に起因するとしか判断できないとき)の事案が起こったときに、我々はその責任を押し付けられた第2、第3の金子さんを生み出さないだろうか。自分はそのことをどう認知するのだろう、と考えると少し怖くなりました。

【おまけ】
実際の裁判では著作権に違反する行為を幇助し、その意図があったか、という非常に判断の難しい部分が論点になっていたようです。私が見たのは最高裁の記録だけですか、本作のように被告人側の視点ではなく、第3者的に見た記録も面白かっです。

最高裁判所判例集
事件番号 平成21(あ)1900
事件名  著作権法違反幇助被告事件
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81846
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