夜行列車に乗ったカリート

Winnyの夜行列車に乗ったカリートのネタバレレビュー・内容・結末

Winny(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

Winny開発者・金子さんの刑事事件を描いた裁判映画。

生粋の技術者・金子さんはP2Pを利用したファイル共有ソフトを開発。配布したところ著作物のフリーダウンロードが起きてしまい、開発者としての責任を追及される…という話。

作中「ナイフで殺人が起きても、ナイフ製造者に責任能力は無い」、というような例え話が出てきますが、それは確かにそうだろうなと思います。

ですが本件がナイフと違うのは、その新技術によって「本来奪われることの無かったモノ」を新たに奪うことが可能になる、という事でしょう。
ナイフは無い場合でも、殺意さえあれば他の方法で人を殺せますからね。
代替手段があれば、製造者の責任能力は分散するという訳です。

本件のWinnyが世に出たらどういう働きをするか、大方予想していたんじゃないでしょうか。作り手ならその影響を考えて当然です。しかし、試してみないと分からない事もある、というのも技術者の本音でしょう。この辺のバランスは難しい所です。

それでも金子さんと弁護団が成し得たことは大きいと思います。
亡くなってしまったのは本当に残念です。

最後に映画自体についてですが…
この裁判は実際に無実になるまでのエピソードがかなり面白いです。映画ではそこが割愛されていたので、作品としては大きくマイナスですかね。
いきなり結果だけ開示されてもね。

興味があれば原作を見ることをオススメします。