誰もがクリエイターになりうる現代の、礎として戦った一つの裁判を描いた物語。
世代じゃないから元の事件に詳しくはないのですが、テーマはすごく面白いと思った。
でも描き方が何だか…とても感情的。
なんというか、すごく浅くて、薄っぺらく感じてしまいました。
東出やいっけいのキャラクターが強過ぎて、そこにフォーカスし過ぎに感じた。
もっと法律や裁判について詳細に描いて欲しかったし、その結果著作権の話や、サイバー犯罪の規定がどう変わったのか…という現代につながる話を描いて欲しかった。
人を殺すことができる、ナイフを作った人は、逮捕されない。
という理屈はその通りだけど、今話題のオッペンハイマーも同じ苦悩を描いていると思う。
作っただけで、使わなければ犯罪じゃない、というのが一般論だけど、それだけで終わらせちゃいけないのが技術者倫理だと思う。
3Dプリンターで作れる銃の設計図や、凶悪なコンピュータウィルス、興味本位というだけで何を生み出してもいいわけではない。
それが犯罪に悪用された場合、悪いのは悪用した人間だけど、生み出した人間に何の責任もないわけではないと思う。
winnyの件に関して、開発者の責任を問うてるわけではないのだけど、裁判の勝ち負けじゃなく、腐った警察を暴いて勧善懲悪…じゃなく、もう少し物事の裏表両面に目を向けて欲しいと思いました。