azuki

Winnyのazukiのネタバレレビュー・内容・結末

Winny(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

こういうフィクションの映画は大事だと思う。
とても面白かった。

2002年に実際に起きたwinny事件を扱った映画。ファイル共有システムという仕組みを提供した井上勇が、著作権侵害幇助で検察に起訴されるところから話が始まる。


最後まで見たが、最終的な結果になった原因は、世の中がやっと井上さんに追いついたからではないか?と思った。

新しい技術は最初は笑われる・疑われる・危険視されるなど、受け入れられない事が多い。
特に今の世の中をガラッと変えるものは、より排除される動きも大きくなる気がする。
私も知り合いにSuicaを「切符の代わりになる仕組み」と教えてもらった時、「ありえない」と思った。心の中で少し笑いながら、当時流通してなかったSuicaを受け取ったが、今では日常で使われている。

もしかすると、この事件が無ければ
日本以外で開発された新しい仕組みは
日本で開発されていたかもしれない。
アメリカのシリコンバレーは日本のどこかになっていたかもしれない。
そういう大きな意味を持った事件だったんだと思う。

勿論、法も含め仕組みを作る上では失敗もあるだろう。
この事件の場合、
海外の裁判事例を知り得る術が少なかったので判断材料が少なかった・
専門知識が必要な裁判というだけでも難しいのに、ITの黎明期であろう時代に新しいシステムに関する裁判で判断が難しかった
という部分が、winnyという仕組みを正しく裁けなかった理由かもしれない。

ただ、こういった事件があったということを映画として残しておくことで
同じ過ちを二度と起きないように
糧にする意味も込めて記憶に留めておくことが大事な気がする。


最近フランスでも似たようなことがニュースに取り上げられていた。
何十の郵便局局長が郵便局のお金を不正に得たことで裁判で有罪となっていたが、
その多くは実はシステムの不具合によるお金の不一致であり、冤罪だったという事だ。
それをフィクションとしてドラマにまとめ放映した事で、その問題がフランス内で大きく取り扱われ注目を集めているらしい。

メディアは誇張したり・1部事実を切り取ったり
正しい判断をするのが難しい時代だが
こういった歴史上の「過ち」を映画として残す事は大事な意味を持つ気がする。
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