エビフライ

Winnyのエビフライのネタバレレビュー・内容・結末

Winny(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

自分用メモです。

金子勇がwinnyを開発・配布したことに対する報道や裁判の流れについてのノンフィクション映画。
具体的にどういうソフトなのか、金子勇がwinnyを開発するに至った経緯についてはあまり触れられなかった。

ここ最近「winnyは本当はすごい革新的なソフトだった」「winny規制の動きがなければ今頃日本はIT先進国だった」「金子勇は天才だった」といったwinnyを持ち上げる意見が目についていたが、映画があったからだと知って納得した。

winnyの騒動の時中学生だったが、確かに「winnyというやばいソフトが2chを中心に流行しており、ゲーム等を無料で入手できる代わりに高確率でウイルスに感染するソフト。違法。」くらいの認識だった。同級生にいた、頼めばPSPのソフトをダウンロードしてくれるやつ、がこの手のソフトを使用しているらしいが、そいつでもwinnyには危なくて手を出せない、みたいな噂が流れていた。
開発者が逮捕されたこともあり完全にwinnyは悪という認識で終わった気がする。久しぶりに思い出したのはマキシマムザホルモンの「え・い・り・あ・ん」の曲にて。ここでもwinnyは悪、というスタンスで扱われており、だいすけはんが「俺たちはwinnyを許さへん」と言っていたのを聞いて懐かしいなーと感じていた。別にマキシマムザホルモンが勘違いをしていた訳ではなく、これが世間一般のwinnyに対するイメージだったと思う。実際自分も金子勇が7年越しに無罪になったという事実や、その1年半後に死んだことを知らなかったことから、偏向報道により本当に不遇な人であったことを感じた。

映画の関しては題材への興味もあって見ごたえがあった。反対にこの件を知らない妻は退屈そうであった。
個人的にはもっと長い時間見たかった。winnyについての詳細説明(どういった点に新規性があったのか)、今でいうどのサービスに近いのか(一瞬作中でもyoutubeについての記載があったが)、有罪判決を受けてからの物語、winny開発までの金子勇の人生など、連続ドラマとして作ってほしいレベル。

愛媛県警の裏金問題に対する内部告発と並行して物語が進んでいたが、裏金の証拠となる資料がwinnyにより流出したという事実があるのみで、県警側のストーリーが特にwinny側の裁判等には関わっていなかったように感じた。winnyが不正を暴く手助けをした(良い使われ方もある)ことを描きたかった?金子勇逮捕の裏には警察の不正が絡んでいたということを示唆?
以下も疑問が残った点。
・金子勇のPCにはダウンロード専用のwinnyが入っていたが、直ちに起訴できなかったのはこれが原因?→アップロードは有罪でダウンロードは無罪という描写がなかったが、たぶん当時はそうだったと思う。
・金子勇が判決の前に姉さんに留守番電話で連絡したが、あれは禁止事項では?我慢できずに連絡したということ?winny改良は禁止されたから我慢したが姉さんへの連絡は我慢できなかった?
・法廷でネコファイトのコード修正を始めたのは事実?演出だとしたらやりすぎに感じた。

事実だから仕方ないが、胸糞の悪い終わり方だった。偏向報道・警察の悪質な取り調べ手法等に対する反感を抱かせることが目的ならこの公正でいいと思うが、せめて無罪になるところは描いてほしかった。

エンドロール後に流れた実際の金子勇の映像は謎に感極まってしまった。
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