マグルの血

Winnyのマグルの血のレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
3.7
ファイル共有ソフト「winny」制作者の裁判を元にした話。

こういったソフトがあったことを実は認識してなかったです。マキシマム·ザ·ホルモンの楽曲「え·い·り·あ·ん」で言及してたので初めて知ったかな。パソコン関係にはとにかく疎いので。

2002年に発表された簡単にPC間でファイルを共有できるソフト「winny」を悪用し、不正にインターネット上でコンテンツを違法アップロードした人間が現れる中、2004年に開発者である金子勇が逮捕されるわけです。そこから7年に渡って無罪を主張し裁判が続きます。

この映画をみてwinnyの有効性とか危険性について語れるほどの理解は正直できませんでした。入り口だけ見たら危険な気がするけど、技術の進歩に遅れをとるという解釈を通せば、なんて無慈悲な事件なんだとも捉えられる。

警察の不祥事隠蔽の隠れ蓑に使われたとしたら怒りでしかないが、そもそものリスクを承知した上で公開したソフトであるなら、違法行為が蔓延する可能性を予測できたのでは?という疑問も残る。

参考程度にネット上でのwinny事件に関する考察に軽く目を通してみたけど、良し悪しに関する記述は様々で一概に正解を断定することはできない気がする。難しいです。

ただ、革新的な技術に対して柔軟に対応できない一定数があるということは理解できます。氏は開発したソフトの改良で現行のサイバー犯罪を防げることを主張しますが、裁判中であるためそのような行為はできないと弁護団より止められます。たった2行のプログラムの書き換えでこれからの犯罪の拡大を防げるという主張が退けられるとは、本末転倒です。

社会と技術の落としどころがずれると、ここまで残念な事態に発展することがあるとは。winnyが正しく使われていたら、今よりも発展した情報社会が展開していたかもしれないと考えると悔しいですね。

法廷モノとしての見応えがありました。最近連ドラの「アンチヒーロー」観てるからかな。タイムリーでした。おかげで捗った。

渋いキャスティングと骨太なストーリーなのでかなり見応えあります。イメージより明るく感じたのは金子勇さんの人柄のおかげ。

2024年 51本目
マグルの血

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