馮美梅

性の劇薬の馮美梅のレビュー・感想・評価

性の劇薬(2020年製作の映画)
3.5
目が覚めたら全裸でベッドに繋がれた状態の主人公・桂木誠。
何故に死にたいと思ったのか?そんな彼を救うもう1人の主人公・余田龍二。

順風に進んでいた人生のはずだった。
少しは親孝行できたかな?と両親に沖縄旅行をプレゼントした。
帰ってくる日、うかつにもお迎えに行くことを忘れてしまい女の子とイチャコラ。両親が帰宅時に乗ったタクシーが運悪くトラックと正面衝突事故で2人とも死んでしまう。

完全に自暴自棄になってしまった誠。
そして死のうと思った時に現れたのが龍二。
命を捨てるんだったら俺が貰うと。

そして気が付いたら冒頭の状態。
最初は苦痛でしかない龍二の仕打ちだったが次第にそれも快楽と変わっていくことに戸惑う誠。

龍二は外科医なんだね。
誠は龍二の調教が徐々に快楽と変わっていく。

確かに誠も可哀相なんだけど、龍二の過去がとにかく切ない。
愛する人の苦しみに気が付くことも出来ず、そして日々瀕死の状態の人たちの命を生かしたいと願いながらも常に死んだ恋人(誠とそっくり)の事を思い自分も死にたいと願っている。

そんな時に誠と龍二は出会い、誠の生を生かしたいと思いあえてあのような行為をしていた。それはきっと誠を生かしていることが自分も生きなければと思う瞬間だったのかもしれない。龍二の本当の優しさや悲しみになんだかジーンと来てしまったし、龍二の本当の姿を知ることで誠も龍二に対する思いが変化していくところは切なくもあり、なんだかよかったなと思ったりして。

確かに、ほぼ本編の2/3の誠は全裸状態(笑)
でも、後半から龍二が誠にしている行為の意味や彼の医師としてそして愛する者を大切にしたいと思う気持ちが切なくなってしまいました。

これから誠と龍二の新しい人生のスタートとなってステキな関係を築いて行ってもらいたいなと思える作品でした。
馮美梅

馮美梅