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ローリング・サンダー・レヴュー マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説のktyのレビュー・感想・評価

4.5
ボブ・ディラン入門編
1975年『ローリングサンダーツアー』をマーティン・スコセッシ監督が映像化。

ジョーン・バエズ、パティー・スミス、ジョニー・ミッチェルらの貴重な実演シーン。

中でもサポートヴァイオリニストの女性、スカーレット・リヴェラの絡みつくような演奏と神秘的な存在感が収穫。

ボブ・ディランのステージでのメイクは雑だなあと思ったら自分で塗ってたのが可笑しかった。

字幕で彼の詞を見ると、喜怒哀楽の直接的な表現がないことに気づく。そして詩人アレン・ギンズバーグの登場と、彼のダンス、朗読、二人の仲良しのシーンも興味深い。

詩を鑑賞するとは言葉から映像を思い浮かべることかもしれない。優れた詩は映像化を容易にする。ボブ・ディランの音楽スタイルに画期的なものはないが、彼の音楽は詩を鑑賞することに近いのではと考えさせられる。

そして政治家にも引用される彼の詩は単なる映像ではなく社会の事象を切り取り、その事象を聞き手に追体験させる強さがある。

その強さがどこから来るか?彼の言葉を借りるなら、「人生とは自己や何かを探す事じゃない。自分創造の事だ。創ることだよ」という揺るがない価値観から来ている。

とても示唆に富むドキュメンタリーか?
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