通りすがりのアランスミシー

つむぎのラジオの通りすがりのアランスミシーのレビュー・感想・評価

つむぎのラジオ(2019年製作の映画)
1.5
インディーズには珍しいオーソドックスでウェルメイドなコメディ……を目指そうとして大失敗している映画。
まず、コメディして致命的なことに絶望的なくらいにコメディセンスが無い。
小学生並みの幼稚さと昭和の古臭さを兼ね備えた低レベルなギャグが書き割りを前にしたコントみたいに繰り出される。
ギャグが幼稚でも低レベルでも「ジャッカス」や「ボラット」のように体を張っていれば笑えるが、本作のギャグは低レベルな上に体を張っているわけでもないのでただお寒いだけ。

話自体も相当酷い。
自宅と行きつけの居酒屋だけの狭い人間関係で完結する世界を舞台に、ため息が出るほどどうでもいいトラウマの決着で解決する物語で「だから何?」以外の感想が浮かばない。

映像としては場面転換が不細工。
シーン替わりで時間経過を感じさせるカット(情景や物)が入らないため、
場面転換が唐突過ぎる。
人物が衣装替わりしていなければ日替わりしたことに気づかなかっただろう。(どうしてインディーズの監督は情景や物のカットを使わないのだろうか?)

総評すると滑ったギャグと半径五メートル以内の閉じた世界観で完結する、悪い意味で典型的な自分探し風味付きのインディーズ映画。
鑑賞中の私は完全に「虚無」だった。